好きだから 256

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 伯父は祖父に輪をかけてグローバルでリベラルな思想の持ち主で、沢村が野球をやめてもいくらでも応援すると言ってくれているが、沢村自身は手を借りるつもりはない。
 伯父やその家族は自分の家族のように嫌ってはいないが、沢村には縁を切りたいはずのしがらみや金絡みがどこかしらで纏わりついてくる。
「ったく、うんざりだ」
 沢村は、星川監督やチーム内では信頼も連携もあるのだが、試合を離れたところで沢村とつるもうというメンバーはいない。
 沢村自身が言っているように嫌われているとまではないだろうが、敬遠されているのはよくわかっている。
 ところが誰かれ構わずハイテンションで懐いてきたのが、交流戦で出会った八木沼大輔だ。
 憎めないキャラに懐かれてつい、一緒に自主トレをやることになってしまった。
 自分でも面白いと思うのはこの男が気に入っていることだ。
「ただし、佐々木さんのことは論外だ!」
 また八木沼が佐々木の手を握りしめているシーンが舞い戻って、沢村は拳を握りしめる。
 ぐるぐると考えて苛ついていると腹が減ってきて、冷蔵庫に入っていた弁当を取り出した。
 自分が買ってきたもの以外に、稔が買ってきた弁当もまだ入っていたので、それも取り出してレンジで温める。
 リビングで二つ目を食べていると、寝室から佐々木が出てきてバスルームに入っていった。
「佐々木さん、大丈夫か」
 トイレから出てきた佐々木に声をかけて、後について寝室に入った。
「多分、熱、下がった」
「シャツ変えた?」
「ああ、洗濯機に放り込んできた」
 また毛布に潜り込む佐々木の体温を測ると、沢村は表示されている数字を見た。
「三十七度代。何か食べる? スープとかおかゆとかあるけど」
「うーん………おかゆ? レトルトなら自分で……」
「いいから寝てろ」
「お前、こないなとこで俺につきおうててええんか? 自主トレは?」
 自分を気にかけてくれているのだろうがそんな佐々木にまた沢村はイラつく。
「休みだ」

 


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