「弁当とか、俺にあわせんかて、どっか食べいったらええやん」
「佐々木さんと一緒じゃねえと一人で食ってもうまくねえし」
「あほか…」
ストレートな言葉に佐々木は照れくさくて毛布をかぶった。
佐々木の熱は徐々に下がり、夜はスープやパンを食べられるようになった。
少し良くなって動けるようになると佐々木がバッグからパソコンを取り出して何かやろうとしているのを見て、沢村はパソコンを取り上げた。
「ダメ! 完全によくなってから」
「寝てるのもあきたし、んじゃ、風呂、入ろ」
「ちょとまて! あんた風邪ひいてるのに!」
バスルームに向かう佐々木を沢村は慌てて引き留める。
「熱下がったら、風呂入ったってええらしいで」
「手塚センセが言ったのか?」
「稔さんは熱あっても風呂入るやろ」
佐々木が風呂から上がってくると、沢村は映画のDVDがいくつか置いてあったので見ようと言い出した。
「アクションばっか、ってかダイハード全部」
沢村はウキウキと寝室のテレビセットにDVDをセットする。
「これ、手塚センセの?」
「いや、稔さん、最近は来てなかったみたいやし、院長先生やない? 稔さんのお母さん」
「へえ、いんじゃね、このチョイス」
沢村はベッドにクッションを持ってきて佐々木の横に入る。
「狭いわ」
「湯冷めしたらもともこもないだろ」
不意打ちのキスに、「風邪うつるやろ!」と佐々木は抗議するが、「俺免疫力強いからウイルスとか平気」と佐々木はへらッと笑う。
何事もなかったかのように、沢村は佐々木を抱きかかえたまま、映画鑑賞で夜は更けていく。
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