好きだから 30

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「え? ちなみにプランAは?」
「時間になったらここを引き上げて、みんなでラウンジで仕切り直し」
 つまり、当初の計画通りということかと、はあ、と良太は脱力する。
 そんな外野の雑念も無意識のうちにシャットアウトして沢村と佐々木は窓辺に佇んでいた。
「来てくれないかと思った」
「直ちゃんが、どうしても行きたい言うから……」
 ぼそりぼそりとたいして会話が進むわけではなかったが、沢村は佐々木の顔を見られただけで舞い上がってしまった。
 たったそれだけのことで、涙が出るほど嬉しいとか、二十数年生きてきて初めての体験だった。
「あれ、新聞とかの、クソオヤジが騙しやがって会わせられただけだから。母親が慈善活動なんかやってて、その関連だとかって、じゃなけりゃ、オヤジの、ってか、沢村とかオヤジの会社とか一切断ってるし。今後オヤジが何か言ってきたって金輪際NOだ。あの男は生まれた時から俺のことを疎ましがっていたくせに、俺の名前が知られるようになったら今度はそれを自分の利益のために利用しようとするような男だ。胸糞悪くなる」
 沢村は一息に言い放った。
 ただ、言い過ぎたことで面倒な事態になったことは言わなかった。
 もう良太やアスカにバカ呼ばわりされたことで十二分に身に染みた。
佐々木がそれを知ったら、自分から離れていこうとするかも知れないことは目に見えている。
それだけは絶対ゴメンだ。
際どい内角攻めの挑発に業を煮やして力んでボール球に手を出してゲッツーとか、ゲームなら絶対やらないのに。

 


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