好きだから 42

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「俺の事情があったんだよ。CMに使われる側が代理店なんか決められるわけないだろう」
 呑気な二人の会話にイライラと沢村が割って入る。
「お前が言うな! でも八木沼さん女性人気ダントツだし、昨今、プロ野球選手ってMLBでもない限りCMとか少ないんで、頑張って下さいよ」
「ええ? 俺、良太がええのになぁ」
「お前、大体、良太、良太って馴れ馴れしすぎんだよ」
「へ、沢村かて良太言うてるやろ」
「俺とこいつはガキの頃からのつきあいなんだよ。ちょっと番組でたからって図々しいんだ」
「俺なんか、もう今年十回もパワスポ出てん。十分慣れてええやん。な、良太」
「十回だと? おい、良太、何で俺を呼ばないんだ? 四回しか出てねーだろ」
 良太は二人を両手で抑える仕草をしながら、「話が低レベル過ぎ。沢村、お前、クレバーなイメージで売ってんだぞ」と沢村を睨みつける。
「るせーな、俺はこれが素だ! 芸能人じゃあるまいし、イメージなんか勝手にマスコミが勘違いしてるだけだろうが」
 沢村は開き直る。
 すると、そうそう、と八木沼が頷いて笑う。
「俺も沢村て、無口で近寄りがとうてとっつきにくいて、健さんみたいなオーラある人や思うとったら、話してみたらこんな感じやし」
「健さんて、往年の名優、高浦健のことですか? あはは、ないない!」
「なあ、ほんま、見かけと中身ちゃうし!」
「お前、生意気なことばっか言うんじゃねーよ」
 沢村が誰かとつるむというのは滅多にないことだと、良太も思っていたが、沢村が睨みを利かせても動じることもない八木沼の泰然自若とした性格だからなのだろう。
 加えて人懐こい笑顔は女子でなくても可愛いと思う。
「そういえば、沢村の彼女、中川アスカやて? 俺に隠さんでも水臭いわ、俺、大事なことは口カタイで? 彼女、良太の事務所なん? やからかあ。ええなあ、あんな美人さん、けど、彼女、結構性格きついて、女の子らゆうとったけど」


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