好きだから 43

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 急に、八木沼がアスカの話題を振ったので、良太は、ええ、まあ、と言葉を濁す。
「アスカさんは、歯に衣着せない人だけど、表裏ないし、あれで結構正義感強くて見て見ぬ振りができないタイプなんですよ」
 ちょっとお節介が過ぎることもあるが、と良太は誤解されたままでは可哀そうだとアスカを弁明する。
「あれえ、ひょっとして良太もアスカのこと好きやったとか?」
「え、いや、そういうんじゃなくて……」
「あああ、やっぱそうなんや、親友と彼女とトライアングル!」
「いえ、ほんと、俺にはアスカさんは手に余りますよ、きつすぎて」
 褐色の肌に天パーの髪を揺らせる八木沼の笑顔は憎めない。
 まあそういう想像になるのが普通なのだろうが、かつては別のトライアングルっぽいこともあったな、と良太はふと思い出した。
 あの時の沢村は自分の気持ちを勘違いしていたんだろうと思ったのだが、ひょっとしたら本気だったのかもしれないと、良太は今になって考え直した。
 沢村は嘘が嫌いなやつなのだ。
「そういえば、アスカもハーフやろ?」
「アスカさんはクォーターみたいですよ、お父さんがフランス人とのハーフで、お母さんがアメリカ人の帰国子女だって」
 どちらかというと酒を飲む方の沢村に対して、八木沼は出てくる料理を片っ端から清々しいくらいに美味い美味いを連発して食べまくる。
「なるほヨーロッパ系いうやつ? きれいやし。同じハーフでも俺みたいのとは天と地ぃやな。俺なんか、ガキン頃は、クロ、クロいわれよって、兄貴がおらんかったら、俺、完ぺきグレとったもん」
 辛いはずの話なのに八木沼はニコニコ笑っている。


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