好きだから 71

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佐々木に忙しいとは言われたものの、何度電話をしようと思ったことか。
だが、佐々木と話をしていても、佐々木に隠していることが後ろめたくて、何かぎこちなくなってしまうのだ。
良太が社長秘書兼プロデューサーとして籍を置く青山プロダクションの社長、工藤も所属女優の中川アスカまでをつけまわしている興信所に対して、何でもいいから訴訟を起こせと弁護士の小田に難癖をつけているらしく、堪忍袋の緒が切れる寸前のようだ。
この件に関わってから青山プロダクションのオフィスには出向いたものの、運よくまだ工藤とは顔を合わせていない。
合わせたらあの男のことだ、事の発端である沢村に対して、雷の一つや二つ落としてくれそうだ。
「今、駐車場だ」
沢村は、エンジンを切ってから良太に電話をかけた。
「うん、こないだ、言っただろ、遠野さんが、お前の部屋とアスカさんの部屋にカメラ仕込んだって」
「ああ。なるべくカメラの前では着替えないようにしてるぜ?」
沢村は茶化して言った。
「先手を打って正解だったらしい。あちらさん、いよいよスレスレのところから踏み出しやがったみたいだぜ? 盗聴器と盗撮器、仕掛けたらしい。昨日鍵借りただろ、遠野さんがうちの知り合いでそういうの詳しい人と中を調べて確認した。家宅侵入罪適用で、大手を振って告訴できる」
良太の言葉に、沢村はまさしくはらわたが煮えくり返るような怒りを覚えた。
「クッソ! だったら、早いとこ告訴してくれって小田先生に言ってくれよ」
「まあ待て、アスカさんとも話したんだが、せっかくだからちょっとした小芝居をして、名誉棄損もつけてやれって」
「それはかまわないが、アスカさんみたいに演技なんかできねぇぜ?」
「アスカさんの話に適当に乗ってやればいいんだよ。それに、どうせまた関西だろ? 部屋を空ける時、遠野さんが盗聴器やらを外しに行くってさ」
「わかった。しかしカメラ、大丈夫なのか? アスカさん」
「仕込まれたカメラの場所はわかってるからな。工藤にも一応話したら、即刻告訴だとか喚いてた」
「当然だな。工藤、今、日本にいるのか?」


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