好きだから 78

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青山プロダクションや工藤に因縁をつけたい連中はわんさかいるに違いないが、今回の記事が妙だと思ったのは、沢村には●●商事の令嬢との縁談が進んでいる云々の文言と以前沢村とそのどこぞの令嬢のスクープにはなかった、実際のパーティ内でのショットがあったからだ。
沢村以外の人間には目隠しが施されているが、写真には数名の男女が写り込み、パーティが開催された会場で、しかもかなり近いところでなければ撮れないものだ。
「政治汚職はもうお腹一杯だし、何か面白いことないかなと思ってた矢先、見かけて気になってね」
そう言って電話をしてきたのは藤堂だった。
「俺も、何か作為を感じて、ちょっと調べてみようかと。工藤が戻って怒鳴り散らす前に片をつけたいです」
「元大臣のお陰でそう話題にもなっていないようだが、こっちも蛇の道は蛇ってヤツで、ちょっと手を回して探ってみるよ」
記事のことは気づいてなければわざわざ知らせることもないだろうと、沢村にはあえて知らせなかったが、良太は雑誌記者や制作スタッフ、それにスタイリストなど、あちこちで出会った知り合いに『東京芸能』や記者などについて尋ねてみたが、あまり大した情報は得られなかった。
沢村に関係しているかも知れないこともあって、小田にも連絡を入れると、早速調査すると言っていた。
「芸能界とかって、そんなウソで人の悪口の記事を書かせたりするなんて、ほんと嫌な人がいるのねぇ」
入れたばかりのコーヒーを良太のデスクに置いて、鈴木さんが溜息をついた。
「はあ、そうですよねぇ」
えーっと、と良太はまず一口コーヒーを飲んでから、自分のデスクに戻る鈴木さんを見た。
俺よりも長いよな、このオフィスに入って。
芸能界ど真ん中って感じの社長の下で、ゲーノー人が入れ代わり立ち代わりしているこのオフィスにいて、鈴木さんってすごいよな、と何がすごいのかわからないまま、良太は心の中で感心した。


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