好きだから 80

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 蛇の道から情報を得た藤堂が青山プロダクションのオフィスを訪れたのは翌日のことだった。
「早速良太ちゃんに知らせたくてね」
 左手にはプラグインのオフィス近くにある有名パティセリーのロールケーキが入った袋。
「まあ、ここのロールケーキ、最近評判になってますわね!」
 鈴木さんはいそいそとキッチンに持って行って、やがて香しい紅茶と共にケーキ皿にはカットしたロールケーキを並べてリビングに舞い戻った。
「おもたせで失礼します」
 藤堂と自分のデスクからやってきた良太の前に紅茶とケーキ皿を置き、鈴木さんは自分の分を持ってデスクに戻った。
「あれから『東京芸能』の編集部にいるバイトの女の子にたまたま出くわしてね」
「たまたま? 出くわした?」
 良太は胡散臭そうに聞き返す。
「まあまあ、それであの記事書いたって記者のことさり気に聞いてみたんだよ」
「たまたま出くわした女の子はなんて?」
「あの記事書いた記者ってのが西村って、アラフォーのバツイチ男で、頼まれて提灯もち記事とか、たまに怪しいネタとか拾ってろくに裏もとらずに書くとか、どうも編集部でもあまりよく思われていないらしい。って、そのたまたま出くわした子がね」
 藤堂はお茶をゆっくりと飲む。
「じゃ、あの記事、やっぱ頼まれて書いたってことですか」
 良太は忙しなく尋ねる。
「らしいね。その子が西村のパソコンに入っていた画像を携帯に送ってくれたんだが、明らかに慈善パーティの時の写真だった」
「え、そのスパイ大作戦させた子にそんな危ないことまでやらせたんですか?」
 思わず良太は身を乗り出した。
「スパイ大作戦だなんて人聞きの悪い。知り合いの芸能プロダクションにいる演技力抜群の子がバイト探してたんで、いや、その子、舞台が多いから、バイト掛け持ちしててね、実入りのいいバイトやらないかって。編集部には、今度編集者の役をやるんで役作りにバイトさせてって頼んで、ちゃんとお礼もしてるし」


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