好きだから 86

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 沢村は茶化し気味に言った。
「ああ見えて、かなり辣腕。代議士告発事件て初めてじゃないし。荒木検事とタッグ組んで悪徳って評判だった桜木代議士追い詰めたこともあったって」
「弁護士と検事がタッグかよ」
「小田さん、告発した側の代理人。代議士を追い詰める証拠を提供したのが桜木代議士の娘で、荒木、小田、工藤の同期で工藤の亡くなった恋人だったって話」
「ふーん、なかなかな話だな」
 沢村が父親を通報などと言った時の小田の目を、沢村はふと思い出した。
「何かさ、それって俺らくらいの年だったって、そう考えると俺、何やってんのかなって、時々思うわ」
 良太まで溜息をつく。
「お前はお前だろうが」
 沢村は立ち上がる。
「そうだな、俺は俺だ。今はオヤジがどうとかどうでもいい」
 少し吹っ切れたようにそう自分に言い聞かせるように言うと、沢村はオフィスを後にした。


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