好きだから 96

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 自服で茶を飲み、佐々木はふと、昨夜見ていたネットのことを思い出していた。
 関西タイガースと在京球団合同でファンイベントが近日あるらしい。
 そのイベントには沢村も参加することになっていた。
 そういえば、俺、沢村の試合見たこともなかったんやな。
 一度くらい見ておけばよかったと思うが、いまさらだろう。
 沢村からもあれから連絡がない。
 忙しいのか、いよいよあいそつかされたんかもな。
 滅多に佐々木から連絡を入れたこともなかった。
 イベントて、誰でも見にいけるんやろか。
 佐々木は目の前の直子に聞こうとして、やめた。
 直子はもともと野球ファンだから、きっと色々知っているだろう。
 だが、何か勘繰られるような気がして、佐々木は口を噤んだ。
「おう、周平か、どうした? お前んちのばあ……いや、オフクロさんならテーピングでOKだぜ。まあ、あと一週間くらいかな」
 直子が佐々木家に向かった後で、稔に電話すると、佐々木が何か言う前に淑子の足のことを捲し立てた。
「ああ、それはもう見ていてもわかる。おおきに。おかあちゃんのことはええんやけど、稔さん、確か野球ファンやったやろ?」
「おう、東京だからってジャイアンツだとか思うなよ? こちとら生え抜きのスワローズファンだからな」
「わかったわかった。実は、その、今度仕事で野球関係やねんけど、ファンイベントとかあるやろ? 見学とか、できるん?」
 佐々木は適当な理由をつけて尋ねた。
「ったりまえだろ、ファンイベントってから。行くのか?」


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