好きだから 97

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「あ、ああ。明後日の祝日、神宮球場で、何球団かの合同イベントがあるらしいんや」
「お、そうか、神宮なら、それ、確かチケットあったぜ。大学の後輩が神宮にいてよ、毎年年間チケット買わされるんだ。そいつついでにファンイベントもきっちり送ってくれるからよ。おお、久しぶりに行くかあ」
「え、稔さんも?」
「ったりめーだろ! ちゃんと二枚、かなり選手とかかぶりつきで見られる内野席送ってくるからな。燃えるな、試合じゃなくても」
 稔はすっかり行く気になっている。
 まあ、いっか。
「ほな、頼むわ。そういうイベントとか、要領わからへんしな」
「よおし、ちゃんとスワローズのキャップ持ってってやる。お、そうだ、津波黒ジャケットもあったな」
「あ、いや……」
 そういうのはと言いかけて、佐々木はまた、ま、いいかと思う。
 人ごみで俺のことやなんかわかれへんやろけど、ジャケットや帽子とかあれば、その方がええか。
 九時に迎えに行く、と言って稔は電話を切った。
 野球が嫌いなわけやない。
 だが沢村はそう思い込んでいる。
 佐々木がゲームを見に行きたいともいわないので、遠征先に来ないかとは誘うのだが、ゲームに誘おうとも思っていないようだ。
 それも今更か。
 けれど、イベントではあっても、遠くからであっても、沢村の顔が見られるだろうことに、佐々木は気持ちが高揚しているのを笑った。


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