夏霞2

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 その流れで天気予報も自然と見ている、というわけだ。
「佐々木ちゃん、肌白いし、Tシャツ一枚とか、焼けるとよくないんじゃない? 日傘とかさしたらいいのに。直の貸したげようか?」
「いや、このくらいは平気やけど」
 ちょっと日傘は勘弁かな。
「最近、男性でも日傘さしてる人いるよ?」
「そやね~」
 直子の日傘は黒のレース地で、まあ直子のゴスロリ風ないでたちには合っているかもだが。
「明日から大阪でしょ? 何か聞いただけで東京よりもっと暑そうな気がする」
 佐々木もそれは直子と同感だ。
「まあ、沢村っち、きっと首を長くして、佐々木ちゃん待ってるよね。きっと喜ぶよ」
 直子のこの科白には、佐々木は何と答えていいのか躊躇する。
 自分の本当のところを言えば、佐々木としても嬉しくないわけがない。
 プロ野球の選手であれば、どうしても勝つか負けるかの世界で、沢村の邪魔はしたくないという考えから、ペナントレース中は会わない、と宣言している佐々木だが、実際のゲームを見てみたいという思いがないわけではない。
 沢村は何か勘違いをして、佐々木がプロ野球など好きではないのだと思い込んでいる節があるが、邪魔をしたくないだけで、野球自体見るのもやるのも嫌いではないのだ。
 ともあれ、今回大阪に出向くことになったのは沢村を起用したCM撮影があるからだ。
 大手アパレルメーカー株式会社ONOのスポーツウェアブランド『アディノ』のイメージキャラクターとして沢村を起用することになり、代理店プラグインと業界でも屈指のクリエイター佐々木周平のタッグで進めることになったのは春のことである。
 今回はさらに、俺はしばらく東京には戻れないから、打ち合わせはお前に一任するとかなんとか、当の沢村智弘に代理人を押し付けられた青山プロダクション広瀬良太も同行することになっている。

 


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