いや、沢村のことを思いやっているような顔をして、その実、この恋が終わる時が来るのを恐れているのは自分なのだ。
佐々木はぼんやりと自分の指を握り締めている沢村の手を見つめた。
どこで間違ったのだろうと、いずれは沢村も目を覚ます時が来るに違いない。
ふとしたはずみに、友香が出て行った日の朝がフラッシュバックすることがある。
愛する者のぬくもりをなまじっか知ってしまったが故に、友香の物が消え去って、友香という存在すら消えた離れの伽藍洞のような異様な広さ、涙すら零れない虚脱感がきりきりと胸を突く。
あんな思いは二度としたくない。
俺との時間はやはり間違っていたのだと、沢村に突き付けられた時、俺は果たして立っていられるだろうか。
その時を楽しめばいいのだと、そう思えたら楽なのだろうけど。
こうして沢村と逢うたびごとに、想いは深くなっていくような気がする。
沢村がワインを飲みたいというので、白を二本オーダーし、先ほどのバトラー風ホテルマンがテーブルを片付けて出て行くと、テーブルの上にはワインクーラーの中で氷に埋もれたワインときれいなグラスに夜景が移り込んで絵のように収まっている。
「佐々木さんも来いよ」
せっかく優雅な雰囲気に浸っている佐々木を、バスルームから沢村が呼んだ。
ドアを開けると湯を張って身体を沈ませている沢村が笑った。
「一緒に入ろうぜ」
「いくら大きなバスタブかて、お前が入ったらいっぱいいっぱいやないか」
「いいからいいから」
腕を掴んで引き寄せようとする沢村を佐々木は思い切り拒む。
「濡れるやろ、アホ」
仕方なく、佐々木は上着をクローゼットにかけると、Tシャツ一枚でバスルームに戻る。
「あ、なんか、それ、エロい」
と言ったかと思うと、いきなりそのまま佐々木をバスタブに引きずり込んだ。
「お前はガキ大将か!」
見事頭からTシャツごとずぶぬれになった佐々木を、沢村は早速引き寄せる。
「とりあえず、やることやろうよ」
すぐに沢村は佐々木の唇を塞ぐ。
舐るように、息が上がるまでそうやって口腔を犯すうちに、沢村の指がTシャツの上から胸の突起を執拗に嬲る。
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