「とにかくちょっと落ち着け!」
一方バスルームでは頭から洗い流してシャワーを止めた沢村が自分に言い聞かせていた。
昨夜も結局ガッツいて佐々木を疲れさせてしまった。
佐々木をここに連れてきて二人で過ごそうとは決めていたものの、いきなり襲ったりしたらまた佐々木の機嫌を損ねることはわかっていたから、ゆっくり食事をして、手順を踏んでからにしようと、ちゃんと寝室に連れて行ってからにしようと、一応考えてはいたのだ。
どこかで食事をして二人でバーに寄るとか、それも考えたのだが、如何せん顔が割れ過ぎている。
特に関西では、タイガースの沢村だとすぐに人が振り返る。
だからもし佐々木が一緒にいたりしたら、どこの誰だ、なんて、SNSに上げられでもして騒がれたら、佐々木に申し訳ない。
というか、騒がれるのが沢村だけではないことをホテルのレストランでも再認識したのだ。
佐々木のはっとするほど綺麗な佇まいがいかに人の目を引くか。
自分ではそれをわかっていないらしい佐々木が、沢村は危なっかしくて仕方がない。
二人きりでこうしているのが最善の策だ。
しかもプライベートだけではないことを、沢村は思い知らされた。
あのキモイ広報課長のやろう!
良太が危惧していたように、当然、沢村にも、小菅が佐々木にエロい目つきを始終むけていたのはすぐわかった。
だからことさら、仕事を盾に佐々木と言葉を交わすようにしたのだ。
小菅の視線から佐々木を少しでも守れるように。
無論それが撮影に功を奏したわけで、佐々木も真剣に沢村の言葉を聞いてくれた。
下手に小菅に文句を言って、佐々木の仕事をぶち壊すつもりはなかったから、じっと小菅に意識が行かないよう無視を決め込んだのだ。
それにしてもこれからも沢村のいないところで佐々木は小菅と顔を合わせることになるのが、ひどく気になった。
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