「あんたは、この部屋に似合いの、リッチでセレブできれいな女を相手にすればいいだろ!」
良太は声を張り上げる。
「まだ、あの女のことで臍を曲げているのか? あんなものは、顔を売るための事務所のパフォーマンスだ。あの女とは昔ちょっと遊んだくらいで、こっちが迷惑を蒙っているんだ」
実のところ山之辺芽久の出現は工藤にとってもうざったいことこの上なかった。
「だから、夜中帰ってきて、カップ麺すすってる俺なんかに、こんな豪勢な部屋、にあわないんだよっ! どうせストレス解消にちょうどいいってくらいなんだ」
昨夜の工藤に頭にきていた良太は喚く。
「そんなに嫌ならいつでも元の部屋に戻してやる」
「ああ、そうしたらいいだろ!」
まさに売り言葉に買い言葉。
工藤が部屋を出て行ったあとで、良太はうなだれる。
本当はそんなことを言うつもりはなかったのに。
礼だって、言うつもりだったのに。
「何だよ! 工藤のバカヤロオオオ~~~!」
ついつい思い切り叫んだ良太に、猫が驚いてキャットタワーに逃げ去った。
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