クリスマスの空5

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 けれど無理強いってか、たまに抱きあって眠ったようなこともあったし、確かにキスとか、立っていられなくなって身体が溶けそうなくらいだったりするけど、どっちかっていうとプラトニックに近い気がする。
 それ以上のことはしないのだ。
 それってやっぱ、俺が男だから?
 だから力にひょっとして我慢させてるとかだったら………。
 でもだからといって、離れるなんて考えたくない。
 けど…………
 もし力がやっぱり女の子のがいいとか後悔してるとしたら。
 第一、こんな面白みもないヤツ、とっくに飽きられてもおかしくはない。
 もし、誰か他に好きな子ができたんだとしたら………。
 だってそうだろ、三か月ごとくらいにつき合う女の子違ってたぞ。
 そしたら………
 もう半年近く経っている。
 人の心なんて簡単に変わることを、いや、人の心の本当のところなんてわかりはしないことはよくわかっている。
 力の傍らというポジションを手離したくはないけれど、もし力が俺より他の誰かを選ぶのなら、こんな関係、早いとこ消滅した方がいいのかも知れない。
 ずるい考えだとは知っているが、佑人には冷えていく心の重みがこれ以上大きくなったら耐えがたいだろうと思われた。
 あれは夏休みのことだ。
 力や東山の予備校での夏期講習期間を避けて信州で合宿をすることになった。
 いくら坂本が免許を取ったとはいえ長距離は心配だからということで、行きは郁磨が坂本の車を成瀬家の山荘まで先導してくれた、その夜。
「いいか、俺は力、こいつは啓太だ。お前だけ仰々しいんだよ」
 今度は何を言い出すんだと思った矢先、ガキ大将の顔で力はそんなことを佑人に言い渡した。
 それにしても親のゴルフを借りてきた坂本はまるで何年も運転していたかのように手馴れていた。
「さてはお前、どっかで随分慣らしてたな?」
 東山の突っ込みにも「身体能力の高い所以に決まってるだろ」と坂本は軽くかわしていたが、「ほんとはちょっと前の彼女の車、転がしてたんだ」などと佑人には耳打ちした。
 もっとも坂本も東山も力もバイクの免許は持っているので、車の操作さえ覚えればそう難しいこともなかったのだろう。
 男ばかりの合宿だったが、佑人も高校進学当時は思ってもいなかった高校最後の夏を思い切り楽しんだ。
 球技大会で佑人とペアを組み、何と準優勝までこぎつけた東山は、すっかりテニスが気に入ったようで、山荘でも佑人や坂本をテニスにつき合わせた。
「しっかし、東とテニスってやっぱ面白い組み合わせだよな」
 ニマニマ笑う坂本に、「言ってろ。何せ、あれから何人か女の子に告られるし、俺も成瀬も」と東山はラケットを握りしめる。
「そっちかよ。しかし未だに彼女、いねぇじゃん」
「それはその、ちょおっと、合う子がいなかったっつうか、受験生だしな」
「お前、いい気になって高望みしてんだろ」
「うっせーよ、成瀬こそもともと人気あったのが、あん時もすんげ可愛い子に告られてたのによ、受験のことしか考えられなくて、なんてさ、もったいねー!」
 力とのことは坂本と練しか知らないことだった。

 


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