Winter Time14

back  next  top  Novels


「お客さんです。工藤さんの」
 良太はあたりさわりなく答えた。
「人相風体からすると、彼、だよね? モデルさんじゃないのかい?」
 よほど気になるらしく、藤堂はさらに聞いてくる。
「いいえ、全然畑違いの業界です」
「ほんとか? あんな美人さん、そうそういないだろう。佐々木さんと張り合いそうじゃないか。工藤さんと知り合いってなら、モデルか俳優かに口説いていそうだけどな」
 そういうことはありそうかも、と良太も思う。
 とにかく千雪とのことについては後にも先にも一度だけだ、ということ以外工藤から聞いていない。
 千雪とどういう関係があったのか。
 推理作家小林千雪といえば、常にセットでマスコミなどに取り上げられているのが、綾小路京助だ。
 T大法医学教室に席を置く京助は、千雪とともに警察に協力して難事件を解決して以来、財界の重鎮東洋グループCEOの御曹司というバックボーンもさることながら、女に不自由しない俳優ばりのイケメンと極端なダサ男として知られる千雪とが対比され、話題が少ない時などテレビや雑誌、ネットなどで面白おかしく囃し立てられたりしている。
 その京助がいつか、千雪にちょっかいを出すなと工藤に言っておけ、などと自分を脅したことを考えると、何かもっとあったのかもしれない。
 驚いたことに千雪は京助と付き合っているというのだが、良太からすると、どう考えてもあの横暴京助が無理やり千雪をモノにしたんじゃないかと疑いたくなるのだが。
 工藤にそれを聞いたとしても、また、昔のことがお前に何の関係がある、とか言われるのがオチだろうけど。
 ちぇ、関係ないんなら話してくれたっていいじゃん。
「ほーい、良太ちゃん、いきなり目の前でトリップしないでくれよ」
 はっと目を瞬かせると、藤堂が手のひらをひらひらさせている。
「あ…」
「さてはあの美人の魅力にやられたな?」
「そんなこと、別にち…」
 名前を言いかけて慌てて口を噤む。
「…っと、そろそろ鈴木さん、帰ってくるかな」
「ん? 何か今ごまかさなかった? 良太ちゃん」
 藤堂がのほほんと見せてその実、鋭いというのは良太にもわかっている。
「い、いや別に何も…」
 苦笑いしてパンナコッタに集中する。
「まあいっか。ところで、今度のイブの晩、予定ある?」
 顔を覗きこまれて一瞬動作が止まる。
「それって、藤堂さんのお誘いとか? 俺にゆってる?」
「君以外、いないよね? このオフィス」
「そうですね…」
「俺のお誘いなんか受けられないとでも?」
「え、いや、決してそーゆーわけでは…」
 苦笑いの良太に藤堂はにっこり。
「イブの晩、達也んちでね、パーティやるんだよ。よかったら来てほしいな?」
「達也って、河崎さんちですか? なーんだ、そんならそうと最初にゆってくれれば。う~ん、多分行けるんじゃないかな~。イブの晩なら。あのCMの件がなければ、俺も忙しかったと思うんですが、工藤さんのお供とかで。番組の打ち合わせとか挨拶周りとかあるけど、夜は業界関係の忘年会がひとつ入ってて、工藤さん送っていけばお役御免って感じ」
 そうなのだ。
 どうせイブなんて工藤も忙しい。
 一人で過ごすのもちょっと侘しい気もする。
「行きますよ。でもメンバーはどうゆう?」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ
にほんブログ村