相手が男だということに仰天したものの、マジだから、という朔也の言葉より、実際清隆に会ってどうやら本物らしいと西本も諦めた。
だがそれからというもの、とっかえひっかえ女を泣かせていた朔也の生活態度は一変し、噂はまだ山ほどあったが、実際は清隆だけ、という状況は、西本には信じ難いところだった。
しかも、朔也の演技にも重厚さが増して評価され、仕事も充実している。
こうなったら、とばかり、西本はいざとなると清隆を頼りにするようになったわけだ。
「正月なんかにうちに帰りたかねーんだけどなー」
清隆がため息交じりに言った。
「お前は別にこっちにいればいいじゃん」
「そうはいくか!」
せっかく朔也のオフなのに、ずっと一緒にいられるってのに、と、それから、一計を案じた清隆は、勝手に年末から正月にかけて、自分の家に朔也を連れて行く手はずを整えてしまった。
「ウッソだろ? お前んちって、それマジで言ってるのか? 俺はホテルとって……」
いくら同級生とはいえ、付き合っている相手のうちに行くというのは何となく気が重い。
「街にいるのに、家に帰らないわけにはいかねーんだよ。あんな小さい街で、どっかしらでばれちまわー」
「だから、お前は帰ればいいだろ」
朔也は面倒くさ気に言い放つ。
「お前も、うちに行くの。お袋にもそう言ってある」
清隆は言い返した。
「言ってあるって、お前……」
まあ、高校の同級生ではあるし、友人宅に泊まるのに何の不思議はないかもしれないが。
back next top Novels
にほんブログ村
いつもありがとうございます