困っている者にはすぐ手をさしのべないではいられないらしい。
「藤原くーん、視聴覚室から資料運ぶの手伝ってぇ」
「おー」
外国生活が長かった所以か、女の子が重いものを持っているなんて時はあたりまえのように。
お人よしの七海は文句を言うでもなく、みんなに都合よく使われている。
女の子がそんな七海のことを、忠犬ナナ公、などと面白がっているのも勝浩は知っている。
それより城島志央はとんでもない遊び人なんだと、勝浩はこそっと呟くが、もう七海の背中に届くわけがなかった。
「今日の肉じゃが、ぜっっっったい、うまいです。太鼓判押します!」
「ヘー、そりゃはやく食べたいな。でも、七海に食わせてもらってばかりじゃ悪いし。今度は俺が何かごちそうするよ」
貢物には抵抗がない志央だが、さすがに毎日毎日負担させていることに少しばかり罪の意識が疼く。
何せ下心あってのことなのだから。
「そんなの、俺が作りたくて作ってるんですから、志央さんは気にしなくていいんです。志央さんが喜んでくださればそれで…」
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