志央も愕然としている。
「とにかく」
志央は言った。
「俺がこれから堺のガードをしよう。また何をしかけてこないとも限らない」
「いや、俺がやります」
志央の言葉を遮るように、言い切ったのは七海だ。
「え……」
射抜くような眼差しを向けられ、一瞬志央はたじろいだ。
「クラスメイトだし、俺の方がずっとついてられるし」
「……そっか。…じゃあ、よろしく頼む」
まともに七海を見ることができず、志央は幸也に向き直る。
「幸也、ぼんやりしてないでその男の目を覚まさせろ」
気を失っている男を幸也が引っ張り起こす。
その間に、七海はやはりまだ小刻みに体を震わせている勝浩を優しく抱えながら、生徒会室を後にした。
ふと、志央は七海が出て行くとき、何か違和感を覚えて七海を見つめた。
「あれ、お前…目……」
左右の目の色が違う。
しかも左は電灯の光のせいだけではない、青く見える。
「ああ……落としたのか、コンタクト」
七海は右の目からもコンタクトレンズを外した。
「青いと、いろいろ言われるんで……でも度は入ってないし、もう……いいです」
別にもう、誰に何を言われてもこれ以上地にのめり込むようなことはない。
どうせ俺なんか、志央さんの視界には入ることはないんだ。
硬質な見たこともない青い瞳がじっと志央を見据えた。
この時を境に、藤原七海という男が変貌した。
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