ばたばたと七海と幸也の後を追ってきた勝浩と松永が尋ねる。
「いない…消えた…」
「長谷川さん!!」
「あのヤロー!」
幸也は思い切り拳で壁を叩きつける。
「あいつはちっともわかっちゃいない! 強気でいるが人目を引くし、誰かついてないとどんなやばい目にあうかしれないってことを!」
「志央さんを狙ったやつに心当たりないんですか!?」
七海はこの際意地を張っているどころではなく幸也を問い詰める。
「ああ」
この際話さないわけには行かないだろうと、幸也は事情をかいつまんで話した。
「ここ一年ばかりの間に、かなり陰湿で暴力的なイジメが横行していた。俺たち、俺と志央と、大山、西本の四人でイジメグループの実態と、それを牛耳っている黒幕をつきとめようとしていたが、まだ誰かわかっていない。そいつに脅されて、部員を使って堺を襲ったのは桜庭だ」
七海は幸也が話し終わる前に生徒会室を飛び出していた。
「手分けして桜庭と志央を探すしかない。西本と大山も動いている」
「俺たち、本校舎捜します!」
勝浩と松永も走り出した。
「騒ぐなよ! 桜庭を刺激するとやばい。あと、お前ら二人一緒に動け!」
「はい」