Tea Time 10

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 唐突に立ち上がると、幸也は秀さんに目で挨拶してから清算を済ませ、店を出た。
 だが、他の店に行くという気分でもなく、ぶつくさ言いながら連れ立って歩く武人とともに、幸也は歩いて十分ほどの自分の部屋に向かう。
「だから、あれから、ドライブ行ったり、飲みに誘ったりしたが、大抵十一時も過ぎる頃になると、ユウが待ってるから帰るって言い出すんだ、ったくシンデレラかっての。一緒にご飯食べようとかって電話くれたから、いそいそと勝浩の部屋に行ってみると大家のババアが陣取ってて、三人で焼肉パーティだ。大家はどうせ一人だからってたまに勝浩にメシ作ってくれたりするらしんだが……」
 手持ち無沙汰で、つい指が煙草に伸びる。
「さっさと出てけばいいものを、ババア、ずっと居座りやがって、もう十一時になるしお開きにしましょうかね、とか言いやがって、勝浩がゼミ合宿で発表があるからレジュメ作らなけりゃとか聞けば、こっちはじゃあまた電話するとかなんとかって帰るっきゃないだろーが!」
 早口で言い切った幸也を一瞬ぽかんと見ていた武人はやがてぷっと吹き出し、挙句にゲラゲラ笑い出す。
「お前、それ、中坊のしかもオクテの女じゃあるまいし、大の男が、さんざ老若男女泣かせてきた長谷川幸也の言うことかよ」
「るせーな! 俺は真面目に……」
「待てよ、勝っちゃんって二年だろ? ゼミって」
「研究室に入り浸ってて、ちょっと書いたレポートが教授の目にとまって、ちゃんとした論文にしてアメリカ送ったら、高評価だったらしい。んで、もうゼミに特別参加してるんだと」
「ほえ~、さっすが、勝っちゃん、動物好きが講じてもう動物学者かあ。ま、それは置いといてもよ、お前って何でも卒なくこなしそうなくせに、大事にしたい相手にはてんで二の足踏み過ぎンだよ。志央のことだって、何で鳶にあぶらげさらわれる前にモノにしちまわなかったよ? 勝っちゃんのこともお前が車を交換条件に見張っとけなんて言い出したときは何の気まぐれかとも思ったし、勝っちゃんを知れば知るほど、お前が勝っちゃんを志央の身代わりにしたいんなら許せねぇってだな」

 


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