Tea Time 11

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「だからマジだっつってっだろ!」
 むきになる幸也をドウドウと押さえながら、武人はにやにや笑う。
「要は、つまり、山小屋以来ひょっとしてヤラせてもらえてないってわけ?」
 肯定するのも面白くない幸也は、くわえた煙草を無闇にふかす。
「あっ、お前、山小屋でとんでもないキチクなマネしたんだろ?!」
「するかっ!」
「てことは、そうだな、まあ勝っちゃん次第ってことだな」
「……………………勝浩次第ね」
 ふうっと大きく煙とため息を一緒に吐いて、幸也は呟いた。
「せいぜい勝っちゃんに嫌われないようにがんばりたまえ」
 幸也のマンションの前までくると、武人はぽんぽんと幸也の肩を叩く。
「チクショ、面白がってんな、てめ!」
 停めたタクシーに乗り込む前に武人は笑いながら幸也を振り返り、「まあ、七ちゃんに気持ちが動いてるってことは、ないと思うけどね、俺は」と言い残して去った。
 幸也はそれに応えることもなく、エントランスからエレベーターホールに歩いて自分の部屋へ向かう。
 数年前に建てられたマンションは外国人入居者が多く、そのほとんどが企業の借り上げだ。その空間の広さや、地下鉄表参道駅にも近くて大学に通うにも便がいいことは、幸也も気に入っている。
 大学の合格祝いという名目で、兄が結婚して新しい家族が増えたのを機に父親が幸也に買い与えたのは留学するちょっと前のことだ。
 メゾネット式3LDKのいわゆる超豪華億ションであるが、留学してほとんどボストンに暮らしていた幸也がこの部屋に落ち着いたのはつい最近のことだ。
 元外相である祖父の二人の息子たちは、よくある二世議員の道を選ばなかった。

 


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