Tea Time 15

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「でもミニだと、大型犬乗せるとユウだけでいっぱいって気がするし…」
 いかにも実務的なことを考える勝浩に、「それが、いいんじゃん」と武人は笑う。
「ユウと大型犬だけでいいわけ。ちなみに大型犬の名前は幸也っつう………」
 ゴニョゴニョと勝浩の耳元で囁く武人を無視して、勝浩は自分のパソコンに向かう。
「よう、アレとその後どないなってんの? ちょっとくらい教えてくれてもいいじゃん、ケチだなあ! 勝っちゃんってばてんでポーカーフェイスだしぃ!」
 ポーカーフェイスは長年勝浩のいわば鎧のようなものだ。弱さにつけこまれたくない一心で、いつの間にか癖になって喜怒哀楽が素直に出てこない。
 憎まれ口ならよく叩いていた。ある上級生に対しては特に。
 武人の言う『アレ』こと幸也とは山小屋以来、ちょくちょく会っているし、幸也は電話もしょっちゅうくれる。
 先日も大家さんに一緒に食事をと誘われたので、ちょうど電話をくれた幸也を誘ったのだが。
 幸也は大家にすっかり気に入られたようすで、大家は「いい先輩がいてよかったね~」としきりと笑って部屋に戻っていったものの、当の幸也とは何となくぎくしゃくしたまま別れた。
 ゼミのレジュメはやらなくてはならなかったにせよ、それを理由に幸也を帰したというのが本当のところだろう。
 山から降りてきてみると、何だかあれは本当だったんだろうか、とさえ思ってしまった。
 よくある夏のなんとか、とか、喉もと過ぎればとか、マイナス思考ばかりが頭をよぎる。
 あり得ないと思っていたから、幸也とつきあうこと自体、想定外なのだ。
 そもそも幸也ともあろう男が、何を好き好んで自分を選ぶのかと。
 勝浩が幸也を好きであることと幸也が勝浩を好きになることがイコールであるはずはなかった、少なくとも勝浩の中では。

 


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