Tea Time 21

back  next  top  Novels


 やっぱり幸也さんに車譲ってもらいたいって。
 金銭感覚なんかなくたって、そんなものどうだっていいんだ。
 幸也さんならいいんだ。
 幸也の携帯番号を選び出す。
 外線ボタンを押そうとして、一瞬、指が止まる。
「……………………だめだ」
 やっぱり…………あの人と俺じゃだめだったんだ。
 うまくいくはずなんか、なかったんだ。
「ほんとに、バカだよな、俺」
 ため息とともに自嘲しながら、勝浩は溢れ出る涙を拳で拭う。
 所在無く動かした指は、見慣れた番号を押していた。
『よう! どうだ? 楽しんでるか?』
 コール二回で、夜中というのにハイテンションな声が聞こえてくる。
「夜分にすみません、あの、車いつお返しにあがろうかと思って」
『ああ、いいよ、返さなくて』
「え、そういうわけには…」
『何、まだ迷ってるの? 勝っちゃんになら超お安くしとくよん。ある時払いでOK』
 明るい武人は確かに頼りがいがあって安心できる存在だ。
「また、そんな」
『いや、ほんと。邪魔じゃなければ使ってれば? 気にしなくていいからさ。あの大家さんなら、必要な時にはタクシー代わりに使ってくださいとかってちょっとまるめこんで、駐車料ただにしてもらうとかさ』
 調子のいいことを言ってカラカラと笑う武人に勝浩も苦笑せざるを得ない。
「わかりました、じゃあ、邪魔になったらまたお返しにあがりますね」
『おいおい、勝っちゃん~~。と、そだ、最近幸也のやつと会った?』
 ドキッと勝浩の心臓が跳ね上がる。
「いえ………」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ