Tea Time 23

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    ACT 3

 秋晴れのある朝、といってももう十一時に近くなっているが。
 武人が歩いていたのは、世田谷は用賀の閑静なたたずまいである。
 その一角にある門には花で飾られた『Nao Cake House』という木彫りのプレートがかかっている。
 チャイムを押して門を一歩踏み入れるとまるでミスマープルの家の庭にでも迷い込んだかのような錯覚に襲われる。
 秋色の木立に守られるようにコスモス、デルフィニウム、ジニアリネアリス、ナチュラルガーデンを彩るピンク、青、黄色の花が真っ盛りだ。
 あちこちに置かれたコンテナには花があふれ、ベンチやテーブルをさりげなく彩っている。
 明るい黄色の花をつけたつるバラのアーチをくぐり、カンパニュラに覆われた石段を数段上がると、オフホワイトの壁や高い窓、鉢植えを左右に配した白い玄関ドアが見えてきた。
「あら、いらっしゃい! 久しぶりね~タケちゃん」
 ドアが開いて武人を出迎えたのは、ゴールデンレトリバーとトイプードルの二匹と、この可愛いイギリス風の家の主、城島奈央である。
 既に五十代にも手に届くはずだが、年齢不詳の美貌は衰えることなく、明るく可愛らしい笑顔は料理研究家としての人気の重要な要因であろう。
「奈央さん、ちょと早かった? まだあいつらきてないんだ?」
「いいのよ、もう準備はできてるわ。あの子たちが来る前にお昼いかが? 今日は冷たいパスタ。ちゃんとケーキも焼いてあるわよ」
「うおっ! ヤタッ! ぐぐっと腹がなるぅ。奈央さんのケーキって最ッ高にうまいっすからね! 楽しみ~。やつらが来る前に食うぞっ!」
「ふふ、でもまた、喧嘩しないでよ~」
 奈央に続いて武人がリビングに入っていくと、奈央の助手を務めるスタッフが数人くつろいでいて、武人を見つけて会釈する。
「ども、お邪魔します~」


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