Tea Time 24

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 元外相である武人の祖父と陵雲学園理事長である奈央の父が同窓で無二の親友であったことから、奈央と長谷川二兄弟の頃はもとより、それぞれ結婚して独立してからも今度はその子供たち同士がという具合に、長谷川家と城島家はもう半世紀以上親しく行き来している。
 学園で教師をしていた奈央の夫は同僚の若い教師と駆け落ち同然で奈央と離婚した。
 そんな奈央に、得意な料理をみんなに披露したらどうかと奈央に薦めたのが長谷川元外相だった。
 とっくに追い出した夫のことなどきれいさっぱりで、美央と志央の二人の子供たちとの生活を楽しみつつ、財界政界の有閑マダムたちを相手に始めた料理教室は口コミで評判となり、奈央は料理教室を自宅から広尾に移して活躍の場を広げた。
 ところが降ってわいたような出来事が奈央をどん底に叩き落とした。
 事故で美央を唐突に失ってからというもの、奈央は生きる術までもどこかに追いやってしまっていた。
 あまりに美央そっくりの息子の志央を避けるかのように一時は傷心のまま海外で過ごしたりしていた奈央だが、自分の悲しみに精一杯で息子の志央を放りっぱなしにしてきたことを悔いるくらいはできるようになった。
 ただ、もし幸也という存在がいなければ志央の心がどれだけ危うかったかなど、奈央には推し測ることはできなかったのだ。
 出版社の取締役となっていた武人の父のつてで料理本を出してからというもの、その美貌も手伝ってあっという間にファンが増えた。
 テレビにもちょくちょく顔を見せるようになると、今度は広尾の教室とは別に用賀にこのイギリス風な家を建てて住み、撮影などに使うようになった。
 頑固な父は鎌倉の屋敷に住んでいるが、かつては奈央とその家族の幸せな生活があった陵雲学園にほど近い大きな家には今、息子の志央が独りで住み、城島家はバラバラになってしまった。
 が、最近、ようやく美央を失った悲しみを志央と共有できるほどには母子の絆が改善されつつあった。

 


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