Tea Time 30

back  next  top  Novels


 大きな図体をかがめるようにして入ってきた七海を満面の笑みで奈央が迎える。
「おう、撮影スタッフのワゴン一台とあと一台くるけど、多分入れ違いだから平気だろ」
「あ、ども、タケさん」
「タケ、撮影なんてさっさとやっつけちまおうぜ、たるい~」
 七海の後ろから、さもうざったそうにやってきた志央が早速文句をたれる。
「お前がちゃんとおリコウにしてたらな」
「ガキ扱いしやがって」
「そういうところがガキだっていうのよ。しゃべらなければ優等生なのにね~」
 すかさず釘をさす奈央に志央はまたぶーたれる。
 そのうち撮影スタッフがやってきた。
 七海も志央もスタイリストに合わせてもらったシャツやパンツが気に入ったらしく、撮影は比較的スムースに進んだ。
「志央、顔がぶすくれてる、しゃきっと笑え!」
 時々飛んでくる武人の突っ込みに、「人をボランティアで使っといて、っせーんだよ!」
 と切り返すが、七海が何か囁いたらしく、次には極上の笑顔を見せ、カメラマンを喜ばせた。
 美貌の母と息子がガーデンテーブルにくつろぎ、青い目の図体はでかいが男前な七海がエプロン姿で奈央の焼いたケーキとお茶を振舞っている、リビングのショットでは七海と志央に奈央がケーキを切り分けている、或いはゴールデンレトリバーやトイプードルを傍らにソファに座った志央とその前のテーブルには、奈央ご自慢のクッキー、いかにも女性が好きそうなカットが次々と撮られ、武人はかなりご満悦だ。
 途中で奈央のケーキを振舞われたスタッフも後半張り切って、終始和やかに撮影が続いた。
 そんな時、バラのアーチをくぐって長身の影が姿を見せた。
「幸也、遅いじゃねーかよ」

 


back  next  top  Novels

にほんブログ村 BL・GL・TLブログ BL小説へ