Tea Time 31

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「研究室から直接来たんだぞ。で、何だ、これは」
「見てのとおり、奈央さんの本の撮影」
「モデルに払う金くらいなかったのか?」
 いきなり核心をつかれて、武人は一瞬言葉に詰まる。
「経費を安く上げて売り上げが伸びるにこしたことはないの」
「俺は、お前が『気になってるだろう懐かしい人に会わせる』から来いっていうから、わざわざきたんだぞ。志央やタコ坊主に今更会って何の感慨がある」
 眉間に皺を寄せてぶつくさと口にする幸也だが、「あら、ユキちゃんじゃないの、久しぶりね~」と撮影が終わったらしい奈央が見つけて声をかけた。
「八月にニューヨークでお会いして以来ですね、小母様。ごきげんよう」
「まあ、あなたは外面だけは昔から紳士よね~」
 そう言って笑う奈央には、幸也もたじたじである。
「よう、お前まで、どうしたんだよ?」
 幸也に気づいた志央が声をかける。
「二年半ぶり、ですね、長谷川さん、お元気そうで」
「おう、タコ坊主、少しは成長したか?」
 近づいてきた七海に、幸也はフン、と笑う。
「これ以上成長するといろいろ不都合があるんで」
 どうやら一九〇センチ代の範囲内でとどまっているが、しっかりと筋肉がついた身体は欧米人にも引けを取らない。
「バーカ、ただのでくの坊になってんなよっての」
「二年半もあれば、十分世の中もわかってきますよ。長谷川さんこそ、あちこちで泣かせてるんじゃないですか?」
「言ってくれるじゃねーか。そろそろわがままなご主人様のおもりに飽きてきたってとこだろ?」
「なかなかわがままも可愛いもんですよ」

 


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