Tea Time 35

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「まあまあ、せっかくこうして陵雲つながりで集まったんだから、乾杯しよーぜ、乾杯。ちょうど飲み頃に冷えてますぜ、ブブクリコ」
 黙ったままの勝浩を横目で見やり、勝手知ったる冷蔵庫から取り出してきたボトルを武人が開けた。
 七海が立ち上がって、武人を手伝ってみんなのグラスに注ぎ分けた。
「俺、車だから」
「形だけ、形だけ。せっかくのOB会なんだし」
 シャンパンを遠慮しようとした勝浩のグラスに、七海は少しだけ注ぐ。
「じゃあ、再会を祝って~」
「タケ、お前だけ部外者じゃん」
 茶々を入れる志央を相手にせず、「るさいな、かんぱーい」と武人はグラスを掲げる。
 この集まりが、何やらぎこちない幸也と勝浩を何とかしようと武人と七海が策を弄した結果、なのである。
 あの頑固な勝浩を動かすにはちょっとやそっとじゃだめだと思いついたのが、今回の撮影を利用した、裕子を誘ってイモヅル式に勝浩を引っ張り出す作戦だった。
 懐かしい人に会わせると言って、幸也を誘った。
 幸也としては、意味深な武人の物言いに、気になってきてみたらこれだったというわけだ。
 奈央お手製の軽いイタリアンディナーに、特製のドルチェはパンナコッタ。
 明るい二人の美女を中心に大テーブルではおしゃべりに花が咲く。
 武人がうまくいけばと画策したはずの当の幸也と勝浩は、互いに意識しながらも電話で喧嘩して以来何日ぶりかで顔を合わせたのでどちらも言葉が出てこない。
 せっかくだからぜひピアノをと奈央にせがまれた裕子がリビングのスタンウェイでシューベルトのセレナーデを披露すると、「志央のピアノはものになる以前だし、ユキちゃんは問題外なんだけど、七ちゃんがすてきなの」と奈央に太鼓判を押された七海が照れながら「月の光」などドビュッシーを奏でた。
 裕子も「とってもすてき」とはしゃいでいる。

 


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