Tea Time 37

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「小母様、たまには祖父のところにも遊びにいってやってくださいね。お邪魔しました」
 リビングを出る前に奈央を振り返ってそう言うと、幸也は志央や七海はもとより勝浩と目も合わせようともせず、たったか玄関ドアを開けた。
「ちょっと待てって、幸也!」
 裏の駐車場まで追いかけてきた武人は、幸也の肩を掴む。
「いったいどうしたんだよ、勝っちゃん、ほっといて帰る気かよ」
「裕子リンがいるだろ」
「違うだろ! 勝っちゃんと喧嘩でもしたのかよ」
 しばしの沈黙のあと「多分、俺じゃだめなんだよ」と幸也は車のロックを外し、ドアを開けた。
「何だよ、それ、お前……んなこと聞いたら、泣くぞ、勝っちゃん」
「そんなに心配なら、お前が慰めてやればいいだろ」
「はあ? おい、幸也……」
 聞く耳もたないといった感じで、幸也はハンドルを切ると、通りに出たアウディはあっという間に見えなくなった。
「ユキちゃんって、アメリカ行ってカッコよさに磨きがかかったわね~」
「前から大人っぽかったものね」
「黙ってても女寄ってくるからな~」
 幸也が帰ったあとのリビングでは、奈央が口を切って幸也評に沸いていた。
「でも! きっと本気の相手には一筋ですって」
 軽い調子で言った志央に七海が反発する。
 武人からこの作戦を持ち出された際、幸也の勝浩に対する思いを一応真摯なものとして考えようと思ったのだ。
 何より勝浩の心を心配してのことである。

 


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