Tea Time 43

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「ウイーンだ。お前んとこにも連絡きただろ」
「げげ、ひょっとして、じいさんのオペラにつき合うん? お前」
 武人は意外そうな顔で、幸也を見る。
 ウイーンにいる祖父から遊びに来ないかという誘いはあったことはあった。
「お前断ったんだろうが。仕方ねーから俺が行くんだよ」
「ったい、どういう風の吹き回しだ? オペラなんてたるいもん観られるかとか言ってたくせによ」
 世話をしろといわれている猫は二つ、毛の長いのと短いのがソファで団子になってまるくなっている。
「いい年だからな、オペラもちゃんと観てみるのもいいかって」
「ほお? ドンジョバンニ? モーツァルトね~、で? 明日行くって? いつまで」
 武人はテーブルの上に無造作に置いてあった飛行機のチケットを手に取る。
「一週間。ちょうど実験終わってキリがいいし」
「いいけどね。その前に、お前、勝っちゃんのこと、どうするつもりだよ」
 幸也の手が止まる。
「このまま放っといていいのかよ」
「気になるんなら、お前が世話してやれば」
「何で俺が?」
「だから!」
 幸也はくるりと武人を振り返る。
「勝浩が車が欲しいとか、ゼミ合宿に行くのに車を使うとか、俺は何も聞いちゃいなかった」
「はあ?」
 武人は何を言い出したのかと、ぽかんと眉をひそめる。

 


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