Tea Time 47

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 中に入って靴脱ぎに立ったまま、ドアを閉めると七海は勝浩をじっと見据えた。
「何度も携帯かけたんだぞ」
「あ、ああ、今さっき見たとこ、何かあったのか? わざわざこんな朝早くに」
「長谷川さんがさ、ウイーンに行っちまうって!」
「え?」
 勝浩は七海を見つめる。
「今日午前の便で!」
「行っちまう……って」
 勝浩は呆然と七海を見つめて反芻する。
「急に決めたらしい。夕べ遅くにタケさんから連絡あって、お前に言った方がいいんじゃないかって。自分が言っても勝浩、聞く耳持たないから、俺に伝えとけって」
 目の前が暗くなるとはよく言うが、実際そんな感じだったろう。
「来いよ!」
 腕を掴んで連れ出そうとする七海に、勝浩は抵抗する。
「待てよ、どこ……行く……」
「空港に決まってるだろ?! 今会わなかったら、今度いつ会えるかわからねんだぞ!」
「けど……」
「意地張って、また同じこと繰り返すつもりかよ?」
 今度いつ会えるかわからない。
 また、同じことを―――――
 急速に喪失感が勝浩を支配した。
 東京に行ったらひょっとしたら会えるかもしれないなんて甘いことを考えて大学にあがってすぐだったろうか、幸也が留学したと確かあの時も志央に幸也から伝えられたことを七海から聞いた気がする。
 ショックではあったけれど、あの頃は半分諦めていたことだからと自分を無理に納得させた。
 自分の思いを心の奥に追いやることができたから。

 


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