Tea Time 48

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 けれど、幸也に再会できたことだけでも嬉しかったのに、予期せぬ幸せを味わったかと思ったら、まるでジェットコースターのように今度は地の底に落ちていく。
 なまじっか、ほんの少しでも心が通じたと思ったばかりに、落ちたら得たいの知れない暗い深い闇の底で、もう這い上がれそうにない。
 足がガクガクと震える。
「勝浩!」
 七海が勝浩の腕を掴む。
「でも……それが幸也さんが決めたことなら……」
 勝浩は首を横に振る。
「俺には何も……」
「ばかやろう!」
 普段温厚を絵に描いたような七海にいきなり頭の上から怒鳴られて、勝浩は思わず首を竦める。
「幸也さんがじゃねんだよ! お前がどうしたいかだろ?! いいか、生きてりゃ、でっかい壁に跳ね返されることなんかいくらもあるし、怖がってたら、前に進めねんだよ」
 七海の青い瞳を見つめたまま勝浩は動けない。
「幸也さんはそれでも行っちまうかもしんないさ、けど、お前、いっぺんくらい、自分の思いちゃんとぶつけてみろよ」
 わざわざ朝早くからお節介をやくためにはるばる駆けつけるなんて、この上もなくお人よしで心根の一途な友人のことを、勝浩はひどく誇りに思えた。
「わかったか?」
 勝浩は唇を噛んでこっくりとうなずいた。

 


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