Tea Time 49

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「学生証、持ったか?」
 七海にせきたてられて部屋をあとにすると、差し出されたヘルメットを被り、勝浩は七海の愛車の後ろに跨った。
「極力安全運転だが、極力速く行くからしっかり掴まってろよ」
「うん、わかった」
 いずれにせよ首都高はどこも渋滞している。
 二輪の二人乗り禁止区間があるため、中環経由で東関道へ向かうルートをとる。
 車の間を縫うようにして七海はZRX1200Rを走らせた。
 必死で七海にしがみついていた勝浩は、バイクが新空港自動車道から新空港I.C.を降りて第一ゲートを通過した頃、ようやく我に返ったように眼前の事実を思い知る。
「ANA、南ウイング四階、ビジネスだから、Cゾーン。チェックイン間に合うかどうかってとこだ!」
 七海の声を背に、勝浩は第一ターミナルの駐車場から南ウイングへと走り出した。
 海外への渡航者、それを見送る人々で賑わうロビーに足を踏み入れた勝浩は、あたりを見回して一瞬、呆然と立ち尽くす。
 それから自分を落ち着かせて七海の言葉を思い出してゆっくり口にする。
「えと…ビジネス、Cゾーン……」
 幸也と同じくらい背の高い男はあちこちにいた。
 だが幸也ではない。
「幸也さん……」
 セキュリティチェックを通過していたらもう遅い。
「幸也さん…!」
 もう一度知らず知らずに声に出したとき、ふっと目を上げたそこに振り返った顔。
 えっというその目が勝浩を捕らえ、次にはスーツに身を包み、セカンドバッグを手にチェックインを待っていた幸也が駆け寄ってくるまでそう時間がかからなかった。

 


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