Tea Time 51

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 さあ帰ろうと勝浩を促そうとした幸也は、きょとんと勝浩を見つめる。
「おじいさまが待ってらっしゃるんでしょう? 行ってください。速く!」
 さっき泣いたカラスが何とやら、勝浩は逆に幸也をチェックインカウンターへと腕を引っ張っていく。
「おい、勝浩……」
「それに、今やめたらチケットが無駄になります!」
「勝浩ぉ~、それって可愛くないぞ~」
「すみませんね、可愛くなんかなくて」
 幸也はフフッと笑う。
「可愛くないとこがまた可愛いんだけど」
「何……ゆってんです」
 途端、勝浩の耳の辺りから赤くなっていくのを見て幸也はまたしても抱きしめたくなるが、そこをじっと堪える。
「じゃあ、オペラ終わったら即帰ってくる」
「ちゃんとおじいさま孝行してきてください。でも……ちゃんと戻ってきてください」
 消え入るような声で勝浩はつけ加える。
「ああ、ちゃんと勝浩のとこに戻るから」
 ふいに幸也が耳元で囁いたので、思わず勝浩の心臓が跳ね上がる。
「万一飛行機墜ちても、俺は戻るから」
 幸也の唇が掠めるように通り過ぎる。
「縁起でもないこと言わないでください!」
「着いたら電話する!」
 笑いながら幸也はチェックインカウンターを通って手を振った。

 


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