幸也さん、と譫言のように繰り返す勝浩を幸也はゆっくり追い上げると、山小屋以来ようやく辿り着いたとばかり、勝浩の白いうなじから鎖骨の浮き上がった背中へと愛しげに指で唇で味わいながら、幸也は熱いその中へと性急に身体をつなげた。
「あ……幸也……さん……!」
静かに目じりから涙が転がり落ちる。
そんな勝浩の唇から零れる吐息が切なげで、背中に回した勝浩の指の感触も手伝って幸也からは最後の理性もどこかへふっとんだ。
作為的に動いて、勝浩の身体の奥から思いもよらなかった快感を引き出していく。
「あっ…………俺………変……」
あまりにも深い愉悦に体をふるわせながら、訴える。
「俺なんかめちゃくちゃ変なんだよ」
幸也の前に自分の中の浅ましさすらさらけ出されてしまう、そんな怖れは却って勝浩に裏腹な言葉を口にさせる。
でも好きな人が欲しいと思ってくれているのだ、それだけで胸が痛くなる。
「……もっと変にしていいから……」
ぶわっと幸也の身体が総毛立つ。
「このやろ……」
怯えを湛えた眼差しが自分だけに注がれている。
キチクなことをしたんじゃないのかと武人に聞かれてするものかとあの時は答えたものの、今回そうは言い切れない。
それでも青臭いガキのようにメチャクチャやったわけではないが、身体をつなげたままの二度目に至ってはかなり我を忘れたような気がする。
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