Tea Time 7

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「のび太がジャイアンなんか好きになるかよ、普通。ったくあの『勝気なプリティボーイ』ときた日には」
「それ、なんでお前が知ってる?」
 また武人の言葉が引っかかって、幸也は聞き返す。
「『勝気なプリティボーイ』? って、新聞部の西本がつけた勝っちゃんのキャッチコピーだろ? なかなか的を得てるじゃない」
 フン、と面白くない幸也は吸いかけの煙草を灰皿でもみ消すと、残りの酒を飲み干した。
 いや、知らないんだ。
 俺の方が―――――。
 勝浩のことなのに、知らないことだらけだ。
 いや、見ているはずなのにわかってなかったのだ。
 ピアノ教室に志央と一緒に何度か行ったことは覚えている。
 だが、先生の顔なんて覚えちゃいない。
 それが、勝浩の母親だったなんて。
 もうずっと志央しか見ていなかった。
 勝浩を勝浩として認めたのは、いつだったろう。
 あれは確か、ディズニーランドで出くわした時だ。
 俺と志央が女を口説いているところを見て、あからさまに侮蔑の視線を送ってきた。
 それを周りに言いふらすようなことはしなかったが、表ではいかにもな優等生を気取りながら裏では悪さをしている俺たちのことを、面と向かってきっぱりと非難してくれた、可愛い顔に似合わないクソ生意気な下級生。
 面白いヤツ。
 そう思ったら、堺勝浩という存在が、志央だけしかいなかった俺の視界に飛び込んできた。
 生徒会室で襲われたときも、翌日には何事もなかったような顔で自分の仕事をしていた。
 まあ、あの時は七海のやつがガードしてたみたいだが、俺も何となく勝浩が気になって目でヤツを追っていた―――――――。
「おい、幸也、ひとりでイっちゃってんなよ!」
 武人に肩を揺すられて、幸也は我に帰る。
「だからぁ、志央と七海が勝っちゃんと会って、それでどうしたってよ?」
 思い出したように、武人が呟く。
「七海と待ち合わせたところに勝浩がいたんで一緒に茶を飲んだんだと」


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