Isla De Pinos19(ラスト)

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 東京を拠点に、京都や奈良、伊豆と、観光や温泉巡りを満喫し、新宿や銀座で買い物を楽しんだルクレツィアがやっと帰るという日、工藤は嫌がる良太を無理やり連れて、彼女を空港へ送っていった。
 助手席に陣取ったルクレツィアは何だかだと工藤に話しかけていたが、運転している無愛想このうえない工藤はにこりともせず、後部座席に座る良太をバックミラーでたまにチラリと見やる。
 なんで俺がついてこなきゃならないんだよ。
 という顔でムスっと窓の外に目を向けている良太は、さらに荷物持ちをさせられて不機嫌が倍増している。
 良太のもやもやとは裏腹に、外は雲一つない青空が広がり、気温もぐんぐん上がっている。
 午後からは『パワスポ』のミーティングが入っている。
 こんな晴れた日は、ほんと仕事なんかしたくないよな。
 学生の時は、それこそカンカン照りのグラウンドを走っていた。
 土埃や汗臭いユニフォームも今では懐かしい。
 プロ野球選手になった沢村は今も同じような夏を過ごしているのだろう。
 自分の実力では難しいとはわかっていたものの、やはりちょっと羨ましい。
 良太がそんなことを考えているうちに、車は成田に着いた。
 チェックインに向かうまで、彼女はずっと工藤に意味深に擦り寄っていたが、最後に良太の頬にキスをして、陽気なミラノ美人は機上の人となった。

 
 

 さて、はた迷惑だったのは帰りの道中、彼らの周りを走っていた車だろう。
「だから、あの女は俺たちをからかっているだけだって言っただろ?」
 結局あのパーティの晩は、シティホテルの豪華夜景見放題のスイートなんかで、夜景を見るようなロマンチックな時間もあらばこそ、実際会えなかった分と良太がスネまくっていた分の埋め合わせのように、ずっとベッドで過ごしてしまったわけなのだが。
「わかるもんか! 金輪際、あんたの言うことはまともに信じないことにしたんだ」
「いい加減ウザいことばっか言ってんじゃない!!」
 オフィスにつくまで、工藤と良太は、ああいえばこういうとやり続け、後ろの車に幾度となくクラクションを鳴らされたのだった。

 


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