酒を飲んでさんざん言いたいことを言った悠は、挙句にボロボロ涙を零し始めた。
「どうせ、俺は天涯孤独だしな」
手の甲で涙を拭いながら嘯く悠を見て、藤堂はおろおろと宥めにかかる。
「何言ってるんだよ。悠ちゃん。君は一人じゃないだろ」
「いい加減なこと言うな! とっとと美香って女のとこ行けばいいだろ! それともあの直ちゃんってコがいいのかよ!」
酔っているから自分が何を言っているのか、悠もわからなくなってきた。
「おや、何だか妬いてるみたいなせりふだな」
「うっせー! あのシュークリーム、ほんとは美香にやるつもりだったんだろ!」
シャツの袖で何度も拭うのだが、涙が止まらない。
「悠ちゃん」
「悠ちゃん、言うな!」
黒い瞳から涙が溢れて落ちるのを見ているのがいたたまれないと思うや、次には藤堂は悠を引き寄せていた。
「よしよし、ちょっと飲み過ぎたな」
しばらくそうやって悠の額や髪を優しく撫でていた藤堂だが、理性が残っているうちに寝かしつけてやろうと、奥の広いベッドへと悠を抱き上げて運んだ。
前にやはり酔い潰れた美香を抱き上げたことがあるが、彼女とさほど変わらないくらい華奢で痩せっぽちな身体がやけに愛おしい。
ベッドに降ろして毛布をかけようとした藤堂の手に急に悠の指が絡む。
「……やだ…いっちゃ…藤堂……」
濡れた唇、シャツから覗く肌の白さ、極めつけは潤んだ瞳がついに藤堂の理性を鷲掴みにしてしまった。
気づくと悠の身体をベッドに縫い付けるようにしてその唇を貪っていた。
ようやく、唇を離して息を吐くと、一瞬、悠の意識が正常に戻る。
二人の視線が危うく絡み合う。
藤堂は悠の身体を抱きしめずにはいられない。
「何すんだよ! 離せよぉ!」
悠は藤堂の腕の中で暴れるが、藤堂はその唇を再び塞ぐ。
「抵抗するとよけいそそられるってな……お前、知っててやってるのか?」
ダメだ、悠を離してやれ! 少しばかり残っている理性が頭の中で牽制する。
だが、せりあがってくるような情動にかられて、藤堂は悠の瞼や頬にキスを落とした。
はるか……
低く呼ばれ、からだ中がぞくぞくするほどの滾りを覚えた途端、悠はさらに唇を捕らえられる。
口づけの熱さに翻弄され、はあっ…ともがきながら息を吐いた悠のシャツを藤堂は脱がせてしまう。
痩せてはいるが骨張った白い肩はやはり女の子とは違う。
だがそんなことはもうブレーキともならず、しなやかな手ごたえに、藤堂はその首筋に唇を埋めた。
「……あ……んっ」
長い睫が震え、いつぞや絵の具を拭おうとして触れた唇は紅く色づいている。
「……悠ちゃん」
耳元で藤堂の声が囁き、あちこちに柔らかな口づけを落とされて、悠の身体が急激に熱を帯びる。
「あ…やっ……触ん……な……っ……」
ふと目をあけると、いつものおちゃらけた藤堂はそこにはおらず、悠の反応を楽しむ余裕の表情があった。
「やじゃないだろ…」
チクショー、やっぱ手馴れてやがる……
悠は藤堂が操る魔法のような愛撫のひとつひとつを享受して若い魚のようなはねる。
あっさり追い上げられ、悠は自分を翻弄している男にしがみついた。
藤堂はいくつもの優しいキスをあちこちにほどこしながら力ない身体をくるりと伏せた。
「あっ………やだっ!……入れんな、おっさんっ! ……でかっ……やっ……!!」
「実況ありがとう」
「……ざけんなっ!…」
「大丈夫、オイルがあったから痛くないよ…」
「……うっそつけっ! ……あっ…あっ!」
唐突な痛みに一瞬悠の身体が覚醒する。
あまりな圧迫感に悠は息を呑んだ。
藤堂は逃れようとする悠の手を掴み、動きを封じ込める。
「よしよし、いい子だ……」
あやすように藤堂はゆっくりと悠の身体から強張りをとこうとするが、もはや自分を止めることはできなくなっていた。
漠然と自分の中で動く藤堂が怖くて、ポロポロと涙を零しながら、それでも時折強烈な刺激に襲われ、悠の唇から零れる吐息が次第に甘くなる。
「……あっ……藤……堂…っ!! あ…」
揺さぶられ、悠は泣きながら、何が何だかわからないまま言葉にならない声をあげ、ジェットコースターのようにからだごと藤堂の手の中に堕ちていく。
「………悠、可愛い……」
堪え切れず、手加減することも忘れて藤堂は悠の中へと埋没した。
朝になったらしく、厚ぼったいカーテンの向こうは明るそうだ。
身体が鉛のように重い。
酔ってはいたが、藤堂に抱きしめられてからの記憶はあった。
不意にめちゃくちゃ乱れてしまった自分が思い出されると、恥ずかしさで身体の痛みなどどうでもよくなってしまう。
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