メリーゴーランド179

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「お前が認めようと認めまいと関係ない。そういうこった」
 それに。
 部屋を出た京助は心の中で呟いた。
 例え俺でなくたって、残念ながら千雪の目はお前には向かないだろう。
 ドアを閉めきってなかったことに気がついたが、京助にはどうでもよいことだった。
 ようやく速水の言った意味が分かったアスカは、しばらく呆然と部屋の真ん中に突っ立っていた。
 そのうち寒くなってきたのを感じて、アスカは部屋を出ようとした。
 その時、誰かがドアの前を通り過ぎた。
 部屋を出てから、アスカは階段を上がって行く人影が日向野らしいことに気づいたが、気にも留めずに自分の部屋へと上がって行った。
 千雪と同級生らは飲み会をやると言っていた。
 いっそ混じってやろうかと考えもしたが、彼らが大切な人を亡くしたという共通の痛みを癒したくて来ているのだという京助の言葉が引っ掛かった。
「ああ、もう温泉に入って、気持ちを切り替えよっと!」
 アスカは口にして自分を鼓舞すると、バスセットを抱えて風呂へと向かった。

  

 京助が研二らの部屋へ行くと、賑やかな笑い声が聞こえた。
 佐久間や公一も一緒になって、京都から東京に来て勝手が違ったといった話をみんなから聞き出していた。
「そらやっぱ、オンナに決まっとるわ」
 辻が言う。
「こっち来てしばらくして、バイクに金つぎ込んでもうて、部屋追い出されて、オンナのとこ転がり込んだんや」
「お前、高校ん時、えらい美人なOLのお姉さまと付き合うとったやろ?」
 三田村が言った。
「お前、よう知っとんな。二股がばれて蹴り出されよったわ。こっちの女は、超クールや。二股バレたら、あたしが帰ってくる前に荷物まとめて出て行って、とかって、鍵はドアから放り込んでおいて」
 辻が女の口調で表情をまねるものだから、どっと笑いが起こる。
「あちこちで二股やってんなや。で? 今はどんなん?」
「残念ながらや、夏に最後の女と別れてからとんとご無沙汰や」
 辻は豪快に焼酎をロックでぐいぐい空ける。
「なーる。ほんでこないなとこで、男ばっかで飲んでると」
 三田村が頷いた。
「まあ、軽井沢いうたら、ええ子おらんかとか思たけど、日向野は何やとんちんかんやし、中川アスカか、思たら千雪狙いやしな」
 辻が千雪を見た。
「小説のファンやいうだけやろ? 俺、こっちで女の子と普通にしゃべったん、そういやあの子だけやな、て」
「そら、お前、あないなナリして女避けよったんや、しかしもったいない話や」
 三田村が感心したように言う。

 


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