嘉月5

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 翌日は着物ショーの開催が予定されているが、茶の湯も無事終了してしまえば半分は成功したも同然だ。
 実は良太にはある重要なミッションが一つあり、今日もそれを切り出すタイミングをうかがっていたのだが。
 やはりとにかくこのイベントが済んでからだな。

 乃木坂に戻った良太は誰もいないオフィスに入り、自分のデスクに向かった。
 すぐにエアコンは効いてきたが、ここのところの寒さで温まるまで少し時間がかかる。
 ライトをつけてパソコンを立ち上げると、もう一つの課題である、社員旅行或いは親睦会のスケジュールに取り掛かった。
 一応、社員一人一人に、家族も一緒に参加できるか否か、旅行か親睦会、どちらがいいか、旅行ならどこがいいか、いつがいいか、など聞いてはいるが、まとめるにはまだ難しい。
 ただ、どこぞへ旅行というのは、俳優陣のスケジュールからするとこの一月中にというのは難しいため、どうやら親睦会に落ち着きそうである。
 とはいえ、社内でやるのはあまりに面白みもないし、今日、佐々木一門が初釜をホテルで開催しているのを見て、どこかホテルで親睦会をするのがいいのではないかと思い始めた良太である。
 遠方からでなくともホテルに部屋を取り、ラグジュアリーに過ごしてもらうというのも一案だ。
 年末年始熱海の両親のところへ行って一泊してきた良太だが、近場の温泉旅行というのも捨てがたい。
 それこそ青山プロダクション御一行様でバスをチャーターすればいいのだ。
 ただ、日によっては俳優陣が撮影に間に合わないなどの支障が出るようなら、やはり都内のホテルでラグジュアリーが一番妥当のように思われた。
「うーん、よし、この案でまた皆の意見をもらうか」
 ぐずぐずしているとそれこそ一月などあっという間に終わってしまう。
「ドラマのキャスティングはもう少し色々調べてからだな」
 後は、例のミッションだ。
「とにかくイベントが終わった五日頃には二人に聞いてみないと。あ、佐々木さんの方はまず直ちゃんにスケジュール聞いてからだな」
 大和屋のイベントも盛況のうちに終わり、さて五日、佐々木オフィスは仕事初めだが、佐々木は休みで直子のみが出社していると聞いていた。
「おはようございます、直ちゃん、ちょっと聞きたいんだけど、佐々木さんのスケジュールってどんな感じ?」
 朝イチで佐々木オフィスに電話を入れると、直子が、「ははーん、良太ちゃんがそう切り出すってことは、かなり重要なミッションでNOという返事はなしだが、一応佐々木ちゃんのスケジュールを聞いておかないと、くらいな話?」とまるで良太の心中を察したかのように返してきた。
「お察しの通り。実は限りなくNOはなしってミッションなんだ。ただ、去年の佐々木さんみたく、タイトにはしたくないんだけどさ」
 観念した良太は、はっきりと切り込んだ。
「それって、期間的には? いつ頃の話?」
 直子が聞き返した。
「うーん、やっぱイメージキャラクターの動ける時ってことだから、撮影は二月までに、放映は春を予定」
「え、ひょっとしてまさか、沢村っち起用?」
「あたり! ってかこれから沢村にも打診するんだけどさ、ぶっちゃけ、東洋グループ。紫紀さん直々のオファーで、沢村を使いたいってことなんだけど」
「沢村っちをうんと言わせるには、佐々木ちゃんが担当するんじゃないとってこと?」
「いやそれが、例のアディノのCMが評判になってるし、紫紀さん自身も気に入ってるらしいんだけど、今年も大和屋さんのイベントで佐々木さんが八面六臂の大活躍だったろう? なんかそれが羨ましいみたいで」
 良太が言うと直子が笑った。

 


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