東京へ行こう 50(ラスト)

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 今日は晴れて青空が見えていた。
「そういえばまだ聞いてなかったな、日本でのルーツ探しの結果はどうだった?」
 しばらく二人は言葉もなく歩いていたが、徐にハンスが口を開いた。
「よかったよ、行って。俺にとってルーツが何かってこともちゃんとわかった」
 ケンは笑みを浮かべた。
 短い期間だが、純や千恵美、それに岡本家の温かい空気感に触れられた。
 母の家族とのやり取りは残念だったが、千恵美の母に自分の母の面影を感じたり、何よりロウエルのことを深く知ることになったのは収穫だったといえる。
「日本で家族に会えたから?」
「うん、それも確かに大切なことだけど、俺のルーツってここだったんだ」
「ここ?」
 ハンスは少し怪訝そうな顔をした。
「そう。ロウエルの父が愛してくれて、こうしてそれを引き継いだ俺がいるってこと。血筋とか関係なく、それが俺のルーツだって」
「そうか」
 複雑なことはどうでも、ハンスには何となく通じたように思われた。
 ハンスはいつもの柔らかい笑みを浮かべてケンを見つめた。
「よかったな」
「それより、ゲミンゲンが迎えに来るまでにちゃんと支度しておかないと」
「あーあ、つまんねーの」
 子供のような言い方でハンスは眉を顰めた。
「大企業の上に立つ男が言う台詞じゃない」
「俺はただの男だよ」
 ケンが咎めるような視線を向けると、ハンスはそう言って笑った。
 知っている。
 仕事となれば顔も変わる。
「仕事は延期して、ひと月くらいここで暮らしたい」
 駄々こねのようなセリフをハンスが吐く。
「はいはい、言うだけならただだよ」
 でも、今日が休みだったらと、ほんのちょっと思わないでもないケンだった。

 


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