秋の陽10

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 結局ベッドに雪崩れ込んでからも歯止めが効かずに工藤は良太を喘がせる。
 いつか良太を離してやるなどと言っていた自分を思い出して工藤は己を嗤う。
 息も整えきれない良太の胸を工藤の指が掠めただけで、全身が敏感になってしまっている良太は悲鳴のような声を上げて身体を捩った。
「何だ、まだ足りないのか?」
「うっさい! オヤジって、んとにしつこい……」
 揶揄する工藤に良太は抗議する。
 力なく抵抗する良太の唇を追って淫猥にキスをした。
「……ちょ……くど……」
 やがて甘い衝撃とともに良太は深淵に落ちていく。

  
「青山プロご一行様でハワイかグアムでも行くか? 福利厚生で」
 頭の後ろからそんな声がして、良太は笑った。
「何だよ、それ……」
 いつのまにか背中からすっぽり抱き込まれていた。
 何か、やっぱ運命とかってあるのかな。
 まあ、工藤のことだから、昔、ニアミスしてたとか言っても、ほう、くらいが関の山だけどさ。
 少しずつ脳みその白濁が消えていくと、工藤なりに事件のことで社員に謝意を示そうとしているのだと良太にもわかってきた。
「別にそんなの、ってか、難しくないですか? スケジュール合わせるの」
「やろうと思えばできるさ」
「それよか、あれ、なんかアメリカのドラマで、何かってと自宅に知人招いてパーティとかやってるじゃん、ああいうのでいんじゃない? 業者さんの忘年会とは別に、社員の家族とかも呼んでクリスマスパーティとかさ。プレゼント配ったりして」
 工藤は黙り込む。
 まあ、そうだよな、工藤、パーティとか宴会嫌いだしな。
「ふーん、わかった、お前に任せる」
「え?!」
 良太は思い切り振り返って工藤の顔を見据えた。
「何、それ、ひょっとして、俺にまたそれ押し付けようって魂胆だろ?!」
「お前が言い出したんだ。いや、いい案じゃないか」
「とかって、すぐバックレるつもりだろ? そうは問屋が卸さないからな!」
「昭和なセリフだぞ? それ」
「うっさい! 昭和なオヤジなくせに!」
 ここ乃木坂の平和な秋の夜長を月は静かに照らしていた。

   おわり


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