「直ちゃん携帯に入れてるんでGPSアプリ、俺の携帯で追えます! すぐに車出してください!」
良太は何とか自分を抑えて言った。
「ちょっと待て、別のとこ張ってた車、来るから、そっちに乗り換えるぞ。この車より速いやろ」
千雪が言う通り五分ほどして現れたのは、黒のレンジローバーだ。
案の定、運転席から京助が顔を出した。
「早く乗れ」
辻と千雪が後部座席に、良太がナビシートに乗り込むと、車はすぐに走り出した。
高速に乗ると、京助はアクセルを踏んだ。
「千雪さん、俺の携帯、直ちゃんのGPS追ってるんで、携帯貸してください。藤堂さんに連絡入れないと」
携帯を良太に渡した千雪はようやくメイク落としでド派手な化粧を落としたところだった。
「あ、藤堂さん、落ち着いて聞いてください、直ちゃん、男二人に拉致されて、今彼女の携帯のGPS追って、首都高に乗ったところです。さっきの車、まだいますから、そこで詳しいこと聞いてください」
「わかりました。ではまた後程」
藤堂は携帯を切ると、早々に店を出た。
「すまないね」
バンのウインドウをノックすると、加藤がドアを開けてくれた。
「今、京助の車で、千雪と誠と良太が女の子を乗せた車、追ってる」
加藤はかなりスペックの高いパソコンを操作しながらそう言った。
「一緒に店についてきていながらとんでもない失態だ。大事な娘さんだからね、俺も追いかける。何かあったら、携帯でもラインでも呼んでくれ。よろしく頼む」
万が一のことなど考えたくはないが、もし、彼女に何かあったら、家族にも佐々木にも顔向けできない。
藤堂は悲痛な面持ちで、車を降りるとタクシーを停めて北青山にある自分のマンションへと向かった。
時刻はそろそろ十時を回ろうとしていた。
京助のレンジローバーは男たちが直子を拉致して走っている黒のセダンとそれを追って啓が運転するグレーのスカイラインを追って中央道を走っていた。
やがて八王子ICから一般道へ降りると、昭島方面へと進む。
「さっき、直ちゃんの携帯から送られてきた会話、よう聴き取れんかったけど、山に埋めた女とか、一緒に埋めた赤いドレス、とかなんとか、言うてたよな」
しばし無言で直子のGPSを追っていたが、タブレットで何か探していた千雪がそんなことを口にした。
「血だらけとか言ってた気がする。ひょっとして松下美帆の振りをしてホテルから出た田口紀佳の返り血の付いたワンピースのことじゃないですか? やっぱり田口が殺したんだ!」
良太は言った。
「かもな、木戸って男より田口って女の方が思い切りよさそうな顔しとるし」
千雪も同意した。
「それにこの記事、気になるんや。もう二か月も前やけど、あの店の女の子が一人行方不明になってるて。伊庭さとみいう子が帰ってきいへんて、一緒に住んどった女の子が警察に失踪届け出したらしいけど、警察が一カ月経っても何も動かへんよって、怒ったその子がSNSで発信したらしい。六本木署、こんなとこでも叩かれとおるわ」
「あの店の女の子なんですか?」
良太は怪訝な面持ちで千雪に聞いた。
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