志央と七海にそれぞれ時間の打ち合わせのために連絡を入れた時のことだ。
「さっき志央にも念を押しといたが、遅れないように、首に縄つけてもやつを連れてきてよ、頼むよ~ ナナちゃん」
『ラジャー』
念を押す武人に笑いながら七海が答える。
「あっと、それからさー、今度みんなで陵雲学園生徒会のOB会やんない?」
『それはいいっすけど、タケさん、陵雲じゃないでしょーが』
「ま、ま、かたいこと言わず俺も混ぜてよ。幸也も帰ってきてるし、勝浩と志央とナナちゃんと……」
『ちょ……まっ………! 幸也って、長谷川さん帰ってきてるんですか? いつ? あ、その前にタケさん、何で幸也さんのこと知ってるんすか?』
「ありゃりゃ~、え、じゃ何も、聞いてないの? 勝っちゃんからも?」
『勝浩からって、何で………?』
よもや幸也が帰ってきていることを七海が知らないとは思わなかった。
しかも勝浩も志央も何も話していないらしい。
「いや………やつ、とっくに夏に戻ってきて、この十月から復学してるぜ。幸也が俺の従兄弟ってことは知ってたっけ?」
『はああ???』
てんで考えても見なかったという反応だ。
「それも初耳? 参ったな~」
『いや、俺はタケさんと奈央先生は単なる出版社つながりだろうと…………………………でも長谷川さんの従兄弟のタケさんが、勝浩の研究会って、また随分な偶然ですよね~』
武人は思わずため息を吐いた。
これはどこまで話したものだろうかと。
「なあ、最近、勝っちゃんと会った?」
『いや、今月に入ってからは電話しただけで……』
「その時、勝っちゃんのようすどうだった?」
『別に、ゼミ合宿から戻ったばっかで疲れてるとか言ってたけど、勝浩のヤツどうかしたんですか?』
「うーーーーーーん……………な~んかさ、ゼミ合宿の時、俺も電話で話しただけなんだけど、勝っちゃん、気になるんだよな~」
見限るのは幸也さんのほうですよ、確かにそんなことを口にした。
『はっきり言ってくださいよ、勝浩と長谷川さん、何かあったんっすか?』
「おや、ナナちゃん、その口ぶりからすると勝っちゃんのこと何か知ってる?」
『いや……あいつは何も言わないんだけど………高校の時、ちょっとその………』
「ふーん、勝っちゃんが実は幸也のこと好きだったとか?」
『何で知ってるんですか?!』
怒ったように七海が問いただす。
「白状させたのさ、このタケちゃんにかかったらちょろいもんよ」
『あいつは真面目なんですから、茶化さないでください。でも相手が悪いっすよ、あの長谷川さんじゃ、遊び人だし、何よりあの人、志央さんのこと好きだったんだ』
「まあ、志央がお前に話してないってのは、そこいら辺の事情もあるんだろうけど、幸也が志央ってのはもう過去のこと。従兄弟の俺が勝っちゃんの研究会にいるなんて偶然じゃないのよ、これが」
『どういうことです?』
七海の声がさらに気色ばんでくると、武人はちょっと思案した。
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