Tea Time6

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「そんな昔のこと持ち出してウザいよ、お前。第一、お前ら、こないだの山小屋以来、ラブラブ街道まっしぐら、じゃなかったのかよ?」
 それに対して即答できないでいる幸也に、「まさかお前、また何かやらかしたのか?!」と武人が詰め寄った。
「何もやってねぇよ」
 そう、山小屋ではちょっと強引だったにせよ、誠心誠意勝浩のことを思ってるし、山を降りてからもそれこそ勝浩のことを最優先に考えているつもりだったのだが。
「だったら、何ウダクサ、考え込んでんだよ? ピピッとワル知恵巡らしてスパッと動くのが良くも悪くもお前だろうが? 昔っから自信過剰の権化みたいなお前がさ? 俺なんかと顔突き合わせてるよか勝っちゃんと話せばいいだろ?」
「それができりゃ、お前の面なんか拝む必要はないんだよ」
 吐き捨てるように言うと、幸也は追加オーダーをしたばかりの酒をぐいっと呷る。
「んじゃ、俺が呼び出してやるよ、勝っちゃん」
 やおらポケットから携帯を取り出して、ボタンを押す武人から、「やめろって」と携帯を取り上げ、幸也はふうっと大きく息を吐く。
「……だから、俺は勝浩の気持ちを尊重したいんだよ」
 幸也はカウンターに武人の携帯を置き、「無理強いはしたくねんだ」と言って舌打ちする。
「だが、何か……あれ以来、避けられてるような気がしてだな」
「はあ?」
 訝しげに武人は眉をひそめる。
「河岸を変えるぞ」
 唐突に立ち上がると、幸也は秀さんに目で挨拶してから清算を済ませ、店を出た。
 だが、他の店に行くという気分でもなく、ぶつくさ言いながら連れ立って歩く武人とともに、幸也は歩いて十分ほどの自分の部屋に向かう。
「だから、あれから、ドライブ行ったり、飲みに誘ったりしたが、大抵十一時も過ぎる頃になると、ユウが待ってるから帰るって言い出すんだ、ったくシンデレラかっての。一緒にご飯食べようとかって電話くれたから、いそいそと勝浩の部屋に行ってみると大家のババアが陣取ってて、三人で焼肉パーティだ。大家はどうせ一人だからってたまに勝浩にメシ作ってくれたりするらしんだが……」
 手持ち無沙汰で、つい指が煙草に伸びる。
「さっさと出てけばいいものを、ババア、ずっと居座りやがって、もう十一時になるしお開きにしましょうかね、とか言いやがって、勝浩がゼミ合宿で発表があるからレジュメ作らなけりゃとか聞けば、こっちはじゃあまた電話するとかなんとかって帰るっきゃないだろーが!」
 早口で言い切った幸也を一瞬ぽかんと見ていた武人はやがてぷっと吹き出し、挙句にゲラゲラ笑い出す。
「お前、それ、中坊のしかもオクテの女じゃあるまいし、大の男が、さんざ老若男女泣かせてきた長谷川幸也の言うことかよ」
「るせーな! 俺は真面目に……」
「待てよ、勝っちゃんって二年だろ? ゼミって」
 ふと武人は首を傾げる
「研究室に入り浸ってるうちに、ちょっと書いたレポートが教授の目にとまって、ちゃんとした論文にしてアメリカ送ったら、高評価だったらしい。んで、もうゼミに特別参加してるんだと」
 それを聞いた時にはさすが勝浩、と幸也も喜んだものだが。

 


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