「あ、勝っちゃん、明日の飲み会七時に新宿だから、六時半にここでね」
出て行こうとして、検見崎が振り返る。
「それ、お断りしましたよね?」
勝浩は聞き返す。
「だってな、二人のこと見ちゃったしな」
「ずるいですよ」
眉をひそめて勝浩は抗議するが、「ほら、俺ってろくでもないやつだし」とばかり、検見崎はとりあわない。
そうか、似てるんだ、この人。
勝浩はふとそのことに思いあたる。
最初から初めて会った気がしなくて、だから結構甘えてたのかもしれない。
「仕方ないなー、もー」
勝浩はムッとしながら承諾した。
「おう、それでいいのよ! じゃ、また明日な、ニャン子ちゃんたち」
そんな風に、みんなに声をかけたりする検見崎は憎めない男なのだが。
「灰皿! 火の始末してくこと! 大体、ここ禁煙なんですから!」
「へーい、すんませーん」
それでも先輩であろうがしっかり教育的指導は怠らない勝浩に、検見崎はせこせこと灰皿を片付ける。
裏門のところで検見崎と別れ、自分の部屋にたどり着いてドアを開ければ、ユウが尻尾を振ってお待ちかねだ。
「ちょっと待てな、荷物置いたら、散歩行くから」
腹は空いているが、ユウの嬉しそうなようすを見ると、散歩から帰るまでの我慢もたいしたことではない。
「さ、行くぞ」
バッグを部屋の中に放ると、勝浩はユウの首輪にリードを引っ掛け、散歩グッズを手に、今日何度目かの散歩へと外に出て行った。
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