「あ、どうも…すみません……」
二人してブランコに腰を降ろし、ポカリスエットの蓋を取る。
ポカリを一気に半分ほど飲み干して、勝浩はようやく人心地ついた。
あたりはすっかり暗くなってしまった。
どこにいる、ユウ!
迷子になって寂しい思いをしているのではないだろうか。
もしや事故にでもあっていたら、どうしよう、ユウ……!
「元気出せって。そう遠くには行ってないだろ。ひょっとして、ホームに舞い戻ってるかもしれないし」
幸也が珍しく神妙に言葉を選ぶ。
「あいつ………、どうやら引越しで前の主人に置き去りにされて、学内うろついてたのをうちの研究会に連れてこられたんです。一年くらい前」
勝浩はユウと初めてあった頃のことを頭に思い描きながらポツリポツリと口にする。
「ったく! 言葉がしゃべれないと思って、勝手なことするよな! ま、そんな飼い主じゃ、一緒にいたって幸せじゃなかったろうさ」
怒りを顕にする幸也を見て、勝浩はちょっと微笑んだ。
「しばらくは何も食べてくれなくて。クラブハウスにおいといたら衰弱していくだけかもしれないと思って、俺、自分の部屋に連れてったんですけど、最初は全然心を開いてくれなかった。でも、辛抱強く世話したかいがあってようやく、ミルク飲んでくれて。それから、ずっと一緒に暮らしてきたのに」
そうだ、ちょうど幸也が留学しているらしいと、七海から聞いたばかりの頃だった。
あの頃の自分にとって、ユウはどんなに頼もしい存在だったことか。
「勝浩…、大丈夫だって、見つかるさ、すぐ」
いや、例え幸也が留学から戻ってきたからといって、たまたま検見崎に頼まれてここにいるだけで、そもそも遠い存在なのは変わりはなかったっけ。
「ユウのことで、できれば保護活動にも手を伸ばしたいって思ったんですが、なかなか簡単にはいかなくて」
「そうだな。学内にシェルター作るってわけにもいかないから、どこか犬猫収容できるような場所をまず探すしかないな」
ボソリと言った勝浩の言葉に、真面目な答えを返す幸也に、勝浩は意外な側面を見た気がした。
「すみません、もういいです。長谷川さん、忙しいのに。俺、ひとりで探しますから」
勝浩はちょっと幸也の存在に浮かれそうになっている自分を叱咤するように立ち上がった。
「勝浩、自分だけで何とかしようってとこ、変わってないよな。あのさ、目の前にいるやつは親でも使え、くらい、図太くなれとは言わないけどな、もちょっと周りに頼ってもいいんじゃないか?」
急に幸也にそんなことを言われて勝浩は戸惑う。
「俺なら全然平気だからさ、これ飲んだら、気取り直して、ユウの捜査再開しようぜ」
「……ありがとうございます…」
「まあた、そんな他人行儀な! 俺と勝浩の仲で」
がしっと肩を引き寄せられて、勝浩はかあっと熱くなる。
「ちょ…悪ふざけはやめてくださいってば」
腕を逃れようとするものの、何となく力も入らない。
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