「あいつら学生じゃねーだろ」
幸也が怪訝な顔をする。
「だから、女の子ならいいの」
「少なくともしょっちゅう仕事でいなくなるタケより俺のが役に立つよな、勝浩」
今度は勝浩を巻き込むつもりらしい。
「ちょっと手伝ったくらいで、口だけ男のお前に懐柔されるわけないだろ勝っちゃんが」
検見崎が勝浩の代わりに反論する。
「フン、俺と勝浩は高校時代二年もの蜜月を過した仲だぞ、先輩を無下にするわけがないだろ、勝浩が」
「長谷川さんと検見崎さんって、何か妙に似てますよね、調子いいとことか」
勝浩がはっきり口にすると、幸也が眉を顰める。
「こんなやつと一緒にするな、勝浩」
不服そうに幸也が訴えた。
「それはこっちの台詞だ、何が蜜月だ。うーん、やっぱ、ここ、専用のドッグランにしよう。芝とか植えて」
「タケ、せこい手で勝浩のご機嫌取りしようって魂胆だな」
勝浩をネタに言い争っている二人を放っておいて、当の勝浩はユウと駆け出した。
「でも、やっぱ、二人雰囲気似てるよな、ユウ。調子いいだけじゃなくてさ」
だからどうということはない。
それ以上詮索しようとは思わなかった。
だがその答えを、勝浩は意外なところから知ることになった。
昼を食べた後で、また一緒にくっついてきた幸也と勝浩がリビングのソファでコーヒーを飲んでいると、ひかりがテニスに誘いにきた。
「勝浩もやるか?」
「いえ、ちょっと疲れたんで遠慮します。俺にはお構いなく。長谷川さん、どうぞ行ってきてください」
愛想笑いを浮かべ、勝浩は言葉通り遠慮した。
やっぱ……だめだなぁ。
二人の仲睦まじいところなんか見たくもない。
「じゃ、タケ、呼んできて。三人じゃできないじゃない」
ひかりが幸也の腕を掴んで、駄々をこねる。
「しゃーねーな、わかったから、離せって」
席を立って、幸也は検見崎を呼びに行った。
するとリリーもやってきて二人は幸也の座っていたソファに座り、そばにあった雑誌を手に取った。
間近で見ると、二人ともかなりな美人だ。
でも気さくで、誰とでも陽気に話している。
だが、自分はやはりこの二人とは関わりたくないと勝浩はその場を立ち去ろうとした。
「勝浩、テニス苦手なの?」
いきなり聞かれて、いや、別に普通ですけど、と答える。
「幸也、とてもじょうず」
リリーがたどたどしい日本語で笑う。
「そうですね、彼は昔から何でもこなすし。でも検見崎さんもテニスかなりな腕ですよ」
「タケ? そうね、二人で子供の頃からよく競ってたわよ」
ひかりが言った。
「ひかりさん、検見崎さんや長谷川さんとは昔から知り合いなんですか?」
勝浩はふと、聞いてみたくなった。
「うん、パパ同士が友達だから」
なるほど、そういう家柄の人種なわけだ。
「そうなんですか。でも、あの二人って何か、似てますね。雰囲気とか。不思議と」
何気なく口にする勝浩に意外な答えが返ってきた。
「あら、だって、従兄弟だもん、似ててもおかしくないよ」
「え…………」
頭の中でその意味を勝浩がしっかり把握するまで、しばしの時間を要した。
「従兄弟…って、あの二人?」
得体の知れない何かを飲み込んだように勝浩は息が詰まりそうになった。
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